臭いを消すのではなく、臭いを、生ませない。
畜産現場の悪臭は、汚れの「量」ではなく、酸素の「不足」から生まれます。BOリアクターは水に溶存酸素を均一に溶け込ませ、水そのものに酸素を運ばせることで、硫化水素やアンモニアが生成される前の段階を、現場全体で抑えます。
なぜ、畜産現場は臭うのか。
悪臭の正体は、酸素のない場所で働く微生物が、有機物を分解しきれずに出す「中間生成物」です。つまり臭気は、汚れがあるから発生するのではなく、汚れが酸素なしで分解されるから発生します。
アンモニア
尿や糞に含まれる尿素・タンパク質が、酸素の乏しい環境で分解されるときに発生します。畜舎内でもっとも感じやすい刺激臭で、家畜の呼吸器にも負担をかけます。
硫化水素
硫酸還元菌が、酸素のない環境で硫酸イオンを還元して生成します。腐卵臭の主成分で、汚泥が堆積した排水路や浄化槽の底部といった、完全な無酸素層でとくに強く発生します。
メルカプタン類
含硫アミノ酸が嫌気的に分解されて生じる硫黄化合物です。ごく低い濃度でも強く感じられ、近隣からの苦情につながりやすい、粘りのある臭いをつくります。
低級脂肪酸・スカトール・インドール
炭水化物やタンパク質が嫌気発酵する過程で生じます。酸っぱい臭い、糞便臭として認識され、通路や掃除の行き届かない場所に残った有機物から立ちのぼります。
「出てしまった臭い」への対策が、続かない理由。
多くの臭気対策は、発生した臭気成分をあとから処理する設計です。発生源が動き続けているかぎり、対策も止められません。
消臭剤・マスキング剤
発生した臭気成分を中和・吸着・被覆する方法。即効性はあるが、発生そのものは続いている。
- 散布を止めると臭いが戻る
- 資材費と散布の手間が継続的に発生
- 発生源(嫌気環境)は残ったまま
マイクロバブル単独
微細気泡で酸素を溶かす方法。酸素を「つくる」ことはできても、槽全体へ「運ぶ」働きは持たない。
- 水流が起きず、DOが局所的にとどまる
- 底部・隅・配管下流に嫌気層が残る
- 専用機器が高価で電力消費も大きい
酸素供給 × 攪拌
酸素を溶かすと同時に回転水流で運び、水そのものを「嫌気環境をつくらせない媒体」に変える。
- 槽全体のDOを均一化し、滞留層を解消
- 処理水が下流の配管・排水路まで酸素を運搬
- 消臭ではなく、生成そのものを抑制
- 薬剤・添加剤の継続購入が不要
悪臭が抑えられるまでの、3つのステップ。
BOリアクターが起こすのは、臭いへの直接的な作用ではありません。水の中の微生物バランスを、嫌気性から好気性へと入れ替えることです。
多孔板による酸素溶解と回転水流の組み合わせが、死水域や濃度ムラを解消します。「平均のDOが高い」ではなく、「どこを測ってもDOがある」状態をつくることが要点です。
酸素が十分にある環境では、増殖速度で勝る好気性菌が嫌気性菌を競合排除します。菌を薬剤で叩くのではなく、増えにくい環境をつくることで菌相そのものを入れ替えます。
好気性分解では、有機物は水と二酸化炭素まで分解が進みます。硫化水素やアンモニアを生む嫌気代謝の経路自体が働かなくなるため、結果として臭気が発生しません。
水が酸素を運ぶから、点ではなく「系全体」で変わる。
BOリアクターを飲水タンクや汚水槽に設置すると、そこから流れ出る水そのものが溶存酸素を保持します。畜舎から浄化槽までの全工程で、嫌気スポットができるのを未然に防ぎます。
畜舎
酸素を含んだ水が飲水・洗浄水として床面に行き渡り、表層のバイオフィルムを好気状態に保ちます。尿素分解菌の嫌気代謝が抑えられ、アンモニアの立ち上がりを抑制します。
通路
洗浄時に流れる水自体がDOを保持しているため、掃除し残した有機物が嫌気発酵に転じる前に、好気分解の側へ誘導されます。
排水路
流送中もDOが維持されるため、内壁に嫌気性のバイオフィルムが育ちにくくなります。硫酸還元菌の活性が抑えられ、腐卵臭の発生源が減っていきます。
浄化槽
流入水そのものが酸素を持って入ってくるため、好気処理の立ち上がりが早くなります。槽内に嫌気領域が形成されるのを未然に防ぎます。
なぜBOリアクターは、DOを均一にできるのか。
高さ22cm・重さ2kgの本体には、モーターもポンプもありません。3つの構造が連携することで、酸素を「溶かす」と「運ぶ」を同時に成立させています。
多孔板が、酸素を溶かす
小径・中径・大径の通水孔を配置した仕切板を空気が通過する際、気泡が微細に分散します。マイクロバブル装置を別途用意せずとも、高い酸素溶解効率が得られます。
回転水流が、酸素を運ぶ
多孔板の羽根が旋回流を生み、処理水を槽全体へ拡散させます。酸素が届かないデッドゾーンを解消する、この「運ぶ」働きが、マイクロバブル単独との決定的な差です。
セラミック担体が、分解を担う
独自焼成セラミックの細孔に好気性微生物が定着・増殖し、有機物と臭気成分を継続的に分解します。菌を投入するのではなく、その場の有用菌が働き続ける場所を用意する設計です。
現場で、数値はどう動いたか。
臭気は主観で語られがちだからこそ、同じ計測地点を定点観測し、導入前後の数値で比較しています。
夏季の気温が高い時期であっても、導入当初より各計測地点で臭気レベルの低下を確認。
臭気の低下とともに、ハエの減少や堆肥の発酵温度上昇など、周辺環境の変化も確認されています。
「分解しきる」ことの意味を確かめた実験
鹿児島県 南九州畜産獣医学拠点(SKLV)/ 22日間
BOリアクター処理水100Lとカルキ抜き市水100Lに、それぞれ同量の牛フン(3kg)を投入してエアレーションを継続し、22日間モニタリングしました。
実験設置:左BO処理水 / 右市水
22日後:BO側で分解進行
22日後、BO処理水側の内容物はサラサラとした土状になり、臭気は確認されませんでした。一方、市水側は水の透明度こそ高いものの、原料の形を残した塊状のヘドロが残存し、底部でアンモニア臭が確認されました。
DOの「均一さ」が保たれることの検証
同形2槽による比較実験(BOリアクター / 筐体のみ)
同じ条件の2槽に、それぞれBOリアクターと「セラミックを抜いた筐体のみ」を設置し、曝気→静置→再曝気→攪拌のみ→別槽移送と条件を変えながら比較しました。
BO設置槽(DO測定中)
対照槽:BO筐体のみ
BO設置槽では、曝気を止めて静かに攪拌するだけのフェーズでも、水面・中間・底のDO値が早く収束しました。さらに、処理水を別槽へ移送した後も、DOの空間均一性が保たれる傾向が見られました。
※ 臭気の測定にはポータブル型ニオイセンサ(新コスモス電機「XP-329 III R」相当機)を使用し、計測ポイントを固定した定点観測を行っています。数値は計測中の最大値です。効果は現場の規模・水量・運用条件によって異なります。
効果が現れるまでの、時間と条件について。
BOリアクターは、水質の向かう方向を変える装置です。即効的に臭いを打ち消す薬剤とは、効き方の時間軸が異なります。
変化の現れ方には順序がある
水が入れ替わる飲水系統や、曝気の効いた槽から先に変化が現れます。畜舎全体や排水路の下流に波及するには、水が現場をひと巡りする時間が必要です。夏季と冬季でも進み方は変わります。
堆積した汚泥ほど、時間がかかる
長年たまった汚泥や、厚く積層したバイオフィルムに対しても、BOリアクターは微細バブルと好気環境によって徐々に改善へ向かわせます。ただし即効性はなく、分厚い堆積ほど長期的な利用が前提になります。
水が動く場所であることが前提
装置本体に動力を持たないため、自然水流のない閉鎖環境では外部ブロワが必要です。また、配管が長い現場では末端まで効果が届くのに時間がかかります。現場の構造に応じた設置台数・位置のご提案をしています。
よくあるご質問
消臭剤や脱臭装置とは何が違いますか?
消臭剤・脱臭装置は、発生してしまった臭気成分をあとから中和・吸着・希釈する対策です。BOリアクターは水中の溶存酸素を均一に保ち、悪臭のもとになる嫌気代謝そのものが起こりにくい環境をつくることで、臭気成分が生成される前の段階に働きかけます。既存の脱臭設備と併用することもできます。
どのくらいの期間で臭いが変わりますか?
現場の規模・水量・堆積物の状態によって変わります。飲水や洗浄水など水が入れ替わる系統では比較的早く変化が現れますが、長年たまった汚泥やヘドロ、配管の末端など、酸素が届きにくい場所ほど時間がかかります。デモ機の貸し出しによる試験導入で、実際の変化を確かめていただくことをおすすめしています。
既存の設備を大きく変える必要はありますか?
必要ありません。既設の飲水タンクや汚水槽にステンレスチェーンで吊るし、エアブロワをつなぐだけで稼働します。目安は10〜20トンの水槽に1台です。自然に水が動いている環境では、ブロワなしで設置できる場合もあります。
電気代やメンテナンスの負担はどの程度ですか?
装置本体にモーター等の動力を持たないため、維持費はエアポンプ稼働時の電気代のみです。消耗品はなく、薬剤や添加剤の補充も不要で、メンテナンスは定期的な清掃のみです。
臭いの発生源が水ではなく堆肥や敷料の場合でも効果はありますか?
BOリアクターは水を媒体として現場全体に酸素を運ぶ装置です。飲水・洗浄水・排水といった水の流れがある系統では、そこにつながる畜舎床面や排水路の臭気に働きかけます。堆肥場そのものに対しては、BOリアクターで生成した液肥を発酵層に噴霧して発酵を促し、臭気を抑える方法をあわせてご提案しています。
効果を数値で確認できますか?
できます。導入現場ではポータブル型ニオイセンサによる定点観測を行い、同じ計測地点の数値を導入前後で比較しています。試験導入の際も、計測ポイントを決めたうえで経過を記録します。
まずは、現場の臭いを測ることから。
現場の構造・水量・臭気の出方をお聞きしたうえで、設置位置と台数をご提案します。デモ機の貸し出しによる試験導入や、現地視察のご相談もお受けしています。
お問い合わせ・資料請求関連:DO(溶存酸素)とは / 曝気してもDOが上がらない原因 / 現場レポート