曝気しているのにDOが上がらない原因|酸素移動とデッドゾーンから考える 空気は送っている。それでも、酸素が届いていない。
ブロワは動いている。気泡も見えている。それでもDOが上がらず、臭いも汚泥も減らない——。この状態には、いくつかの決まった原因があります。「空気を送る量」ではなく、「酸素が水に移り、行き渡るか」で考えると整理できます。
こんな状態になっていませんか。
- ブロワは正常に動いているが、DOを測ると数値が上がらない
- 水面は激しく泡立っているのに、槽の底を測るとDOがほぼゼロ
- 装置の近くだけDOが高く、隅や下流では低い
- 曝気を強めても臭いが減らない。むしろ攪拌で臭いが立つ
- 槽の底に汚泥が溜まり続け、水面にスカムが浮いている
- 夏になると急に状況が悪化する
これらはいずれも、「空気を送る量が足りない」ことよりも、送った空気の酸素が水に移りきっていない、あるいは移った酸素が必要な場所まで運ばれていないことを示す症状です。ブロワの能力を上げる前に、どちらが起きているのかを切り分けると、対策の方向が決まります。
「空気を送る量」と、「水に溶ける酸素の量」は、別のものです。
曝気で送り込んだ空気のうち、実際に水へ溶け込むのはその一部です。残りは水面から抜けていきます。
酸素が気泡から水へ移る量は、一般的に次の3つで決まると考えられています。
気液の接触面積
同じ体積の空気なら、気泡が小さいほど表面積の合計は大きくなります。大きな泡がひとつ上がるのと、細かい泡が無数に上がるのとでは、水と触れる面積がまったく違います。
接触している時間
気泡は浮力で上昇し、水面に達すると抜けてしまいます。大きな泡は速く上がるため、水と接している時間が短くなります。細かい泡はゆっくり上がり、その分だけ長く酸素を渡せます。
飽和量との差
すでに酸素が十分に溶けている水には、それ以上溶けていきません。溶ける速さは、その水温での飽和量と現在のDOの差が大きいほど速くなります。飽和溶存酸素量について
DOが上がらない、5つの原因。
現場で確認できる範囲で、原因は次の5つに整理できます。複数が同時に起きていることも珍しくありません。
気泡が大きく、水面から抜けてしまう
散気管の孔が大きい、孔が摩耗して広がっている、あるいは風量に対して散気面積が足りない場合、気泡は大きくなります。大きな泡は速く浮上し、酸素を渡しきる前に水面から抜けます。水面が激しく泡立っているのにDOが上がらない現場は、この状態が疑われます。「泡が見える量」と「溶けている酸素の量」は比例しません。
酸素が届かない領域(デッドゾーン)が残っている
曝気は、散気管の直上に上昇流をつくります。その流れから外れた場所——槽の隅、底の中央、隔壁の裏、配管の末端——には、水がほとんど動かない領域が残ります。ここには酸素が届かないため、槽の平均DOがそれなりの値を示していても、デッドゾーンの内部は嫌気状態のままです。汚泥が特定の場所にだけ溜まる、スカムがいつも同じ隅に浮く、という現象はこの偏りを示しています。
酸素の消費が、供給を上回っている
投入される有機物の量(=酸素の需要)が、曝気で供給できる量を超えていれば、DOは上がりません。溶けた酸素がその場で消費され尽くしてしまうためです。飼養頭数が増えた、洗い水の量が変わった、堆積した汚泥が厚くなって内部の分解需要が増えた——といった変化の後にDOが上がらなくなる場合は、この可能性が高くなります。DOは供給側の指標、BOD・CODは需要側の指標として分けて見ると整理できます。
水温が上がり、そもそも溶ける上限が下がっている
水に溶け込める酸素の上限(飽和溶存酸素量)は、水温が上がるほど下がります。淡水1気圧の目安では、10℃で約11.3mg/L、30℃では約7.6mg/L です。同時に、水温が上がると微生物の活動が活発になって酸素の消費速度も増えます。供給の上限が下がり、需要が増える——この2つが重なるため、夏季は同じ設備・同じ運用でもDOが下がります。海水では塩分の影響で、淡水よりさらに約20%低くなります。
散気管の目詰まり・偏り・配管の圧力損失
散気管の一部が詰まると、空気は抵抗の小さい孔へ集中して流れます。結果として、風量の合計は変わらないのに、曝気されるのは槽の一部だけという状態になります。長い配管では末端の圧力が落ち、末端側の散気量が減ります。ブロワの計器上は正常でも、槽の中では偏りが生じている——というのは、現場でよく見られる状態です。
どの原因なのか、測って切り分ける。
設備を変える前に、いま何が起きているのかを、測定で切り分けます。
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1. 複数点・複数深さでDOを測る
水面付近・中間・底の3点を、槽の中央と隅の少なくとも2箇所で測ります。点によって大きく違うなら、原因は 02(デッドゾーン)か 05(曝気の偏り)です。どこを測っても一様に低いなら、01(酸素移動効率)か 03(需要超過)か 04(水温)を疑います。
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2. 水温を同時に記録する
水温がわからないDO値は解釈できません。その水温での飽和量に対して何%まで溶けているか(飽和率)で見ると、季節をまたいだ比較ができます。飽和率が高いのにDOの絶対値が低いなら、原因は 04(水温)です。
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3. 曝気を止めた直後の変化を見る
曝気を止めてDOが急速にゼロへ向かうなら、酸素の消費速度が非常に速い状態(03)です。ゆっくり下がるなら需要はそれほど大きくありません。
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4. 気泡の大きさと分布を観察する
水面のどこから泡が上がっているかを見ます。泡が出ていない範囲が広い、あるいは特定の場所からだけ大量に出ているなら、原因は 05(目詰まり・偏り)です。泡が全体に出ていて、かつ粒が大きいなら 01 です。
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5. 堆積物の位置を記録する
汚泥やスカムが溜まる場所は、酸素が届いていない場所とほぼ一致します。図面に印をつけておくと、デッドゾーンの位置が可視化されます。
溶かすことと、運ぶことを、同時に行う。
原因01(酸素移動効率)と原因02(デッドゾーン)は、別々の対策で扱われることが多い問題です。BOリアクターは、この2つを1台の構造で同時に扱う設計です。
BOリアクターの内部では、旋回羽根付きの多孔板が空気と水を接触させながら、酸素を水に溶け込ませます。同時に、多孔板を通過する流れが回転水流を生み、酸素を含んだ水を装置の外へ送り出します。さらに内蔵したセラミック担体が、好気性微生物が定着して働くための場所を提供します。
この設計の意図は、DOの数値そのものを高く保つことよりも、酸素を含んだ水を現場の隅々まで行き渡らせ、酸素の切れ目をつくらないことにあります。散気管による通常の曝気では気泡が周囲の水にだけ酸素を渡して水面から抜けてしまいますが、水そのものが酸素の運び手になれば、上昇流から外れた領域にも酸素が届く経路ができます。
社内検証:曝気を止めてもDOが均一化する傾向
90Lの塩素除去市水に池の水10Lと有機たい肥450g(大豆+鰹)を入れた同形2槽を用意し、一方に「BOリアクター」、他方に「BO筐体のみ(セラミック担体を抜いたもの)」を設置しました。同量の曝気(30L/60sec)で開始し、静置 → 再曝気 → 曝気なしで棒による静かな攪拌 → 別槽へ移送、と条件を段階的に変えて比較しています。
BOリアクター設置槽では分解初期から泡が細かく、8日間の静置後に再曝気した際も小さな泡で済んだ一方、対照槽は静置前と同じ大きな泡を再発しました。曝気を止めて棒でゆっくり攪拌するだけの段階でも、BO設置槽は水面・中間・底のDO値の収束が早い傾向を示し、処理水を別槽へ移送した後も同様の傾向が維持されました。
BOリアクターでも、解決しないこと。
水が動く場所であること
装置本体に動力機器を持たないため、自然水流のない閉鎖環境では外部ブロワが必要です。水がほとんど動かず、かつエアを送る手段も用意できない環境では、期待した変化は得られません。
厚く堆積した汚泥には時間がかかる
長年たまった汚泥や厚く積層したバイオフィルムに対しても、微細バブルと好気環境によって徐々に改善へ向かわせますが、即効性はありません。分厚い堆積ほど長期的な利用が前提になります。
需要が大きすぎる場合
原因03(酸素の需要が供給を大きく上回っている状態)では、装置の台数・配置の見直し、あるいは初期の清掃・除去との組み合わせが必要になります。1台で解決するとは限りません。
FAQ
よくあるご質問
ブロワの風量を上げれば、DOは上がりますか?
水面は泡立っているのに、底のDOがゼロです。なぜですか?
夏だけ状況が悪化するのはなぜですか?
散気管の掃除をすれば解決しますか?
BOリアクターを入れれば、曝気設備は不要になりますか?
References
出典・参考資料
まずは、どこで酸素が切れているのかを、一緒に探します。
現場の構造・水量・曝気の状況をお聞きしたうえで、測定ポイントと設置位置をご提案します。デモ機の貸し出しによる試験導入もお受けしています。
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