Problem — Aeration without result

曝気しているのにDOが上がらない原因|酸素移動とデッドゾーンから考える 空気は送っている。それでも、酸素が届いていない。

原因は5つに整理できる 気泡径と酸素移動効率 デッドゾーン 需要 > 供給
Symptoms
  • ブロワは正常に動いているが、DOを測ると数値が上がらない
  • 水面は激しく泡立っているのに、槽の底を測るとDOがほぼゼロ
  • 装置の近くだけDOが高く、隅や下流では低い
  • 曝気を強めても臭いが減らない。むしろ攪拌で臭いが立つ
  • 槽の底に汚泥が溜まり続け、水面にスカムが浮いている
  • 夏になると急に状況が悪化する

これらはいずれも、「空気を送る量が足りない」ことよりも、送った空気の酸素が水に移りきっていない、あるいは移った酸素が必要な場所まで運ばれていないことを示す症状です。ブロワの能力を上げる前に、どちらが起きているのかを切り分けると、対策の方向が決まります。

Oxygen Transfer

酸素が気泡から水へ移る量は、一般的に次の3つで決まると考えられています。

Factor 01

気液の接触面積

同じ体積の空気なら、気泡が小さいほど表面積の合計は大きくなります。大きな泡がひとつ上がるのと、細かい泡が無数に上がるのとでは、水と触れる面積がまったく違います。

Factor 02

接触している時間

気泡は浮力で上昇し、水面に達すると抜けてしまいます。大きな泡は速く上がるため、水と接している時間が短くなります。細かい泡はゆっくり上がり、その分だけ長く酸素を渡せます。

Factor 03

飽和量との差

すでに酸素が十分に溶けている水には、それ以上溶けていきません。溶ける速さは、その水温での飽和量と現在のDOの差が大きいほど速くなります。飽和溶存酸素量について

つまり「ブロワの風量を上げる」という対策は、3つの要素のうち限られた部分にしか効きません。大きな泡のまま風量だけを増やしても、増えた分の多くは水面から抜け、電気代だけが増えることになります。
Root Causes
01

気泡が大きく、水面から抜けてしまう

散気管の孔が大きい、孔が摩耗して広がっている、あるいは風量に対して散気面積が足りない場合、気泡は大きくなります。大きな泡は速く浮上し、酸素を渡しきる前に水面から抜けます。水面が激しく泡立っているのにDOが上がらない現場は、この状態が疑われます。「泡が見える量」と「溶けている酸素の量」は比例しません。

02

酸素が届かない領域(デッドゾーン)が残っている

曝気は、散気管の直上に上昇流をつくります。その流れから外れた場所——槽の隅、底の中央、隔壁の裏、配管の末端——には、水がほとんど動かない領域が残ります。ここには酸素が届かないため、槽の平均DOがそれなりの値を示していても、デッドゾーンの内部は嫌気状態のままです。汚泥が特定の場所にだけ溜まる、スカムがいつも同じ隅に浮く、という現象はこの偏りを示しています。

03

酸素の消費が、供給を上回っている

投入される有機物の量(=酸素の需要)が、曝気で供給できる量を超えていれば、DOは上がりません。溶けた酸素がその場で消費され尽くしてしまうためです。飼養頭数が増えた、洗い水の量が変わった、堆積した汚泥が厚くなって内部の分解需要が増えた——といった変化の後にDOが上がらなくなる場合は、この可能性が高くなります。DOは供給側の指標、BOD・CODは需要側の指標として分けて見ると整理できます。

04

水温が上がり、そもそも溶ける上限が下がっている

水に溶け込める酸素の上限(飽和溶存酸素量)は、水温が上がるほど下がります。淡水1気圧の目安では、10℃で約11.3mg/L、30℃では約7.6mg/L です。同時に、水温が上がると微生物の活動が活発になって酸素の消費速度も増えます。供給の上限が下がり、需要が増える——この2つが重なるため、夏季は同じ設備・同じ運用でもDOが下がります。海水では塩分の影響で、淡水よりさらに約20%低くなります。

05

散気管の目詰まり・偏り・配管の圧力損失

散気管の一部が詰まると、空気は抵抗の小さい孔へ集中して流れます。結果として、風量の合計は変わらないのに、曝気されるのは槽の一部だけという状態になります。長い配管では末端の圧力が落ち、末端側の散気量が減ります。ブロワの計器上は正常でも、槽の中では偏りが生じている——というのは、現場でよく見られる状態です。

Diagnosis
  • 1. 複数点・複数深さでDOを測る

    水面付近・中間・底の3点を、槽の中央と隅の少なくとも2箇所で測ります。点によって大きく違うなら、原因は 02(デッドゾーン)か 05(曝気の偏り)です。どこを測っても一様に低いなら、01(酸素移動効率)か 03(需要超過)か 04(水温)を疑います。

  • 2. 水温を同時に記録する

    水温がわからないDO値は解釈できません。その水温での飽和量に対して何%まで溶けているか(飽和率)で見ると、季節をまたいだ比較ができます。飽和率が高いのにDOの絶対値が低いなら、原因は 04(水温)です。

  • 3. 曝気を止めた直後の変化を見る

    曝気を止めてDOが急速にゼロへ向かうなら、酸素の消費速度が非常に速い状態(03)です。ゆっくり下がるなら需要はそれほど大きくありません。

  • 4. 気泡の大きさと分布を観察する

    水面のどこから泡が上がっているかを見ます。泡が出ていない範囲が広い、あるいは特定の場所からだけ大量に出ているなら、原因は 05(目詰まり・偏り)です。泡が全体に出ていて、かつ粒が大きいなら 01 です。

  • 5. 堆積物の位置を記録する

    汚泥やスカムが溜まる場所は、酸素が届いていない場所とほぼ一致します。図面に印をつけておくと、デッドゾーンの位置が可視化されます。

測定条件をそろえることが前提です。DOは時刻・天候・曝気の稼働状況によって動きます。導入前後の比較や対策の効果検証を行う場合は、測定地点と時刻を固定した定点観測が必要です。詳しくはDOの測り方をご覧ください。
Our Approach

BOリアクターの内部では、旋回羽根付きの多孔板が空気と水を接触させながら、酸素を水に溶け込ませます。同時に、多孔板を通過する流れが回転水流を生み、酸素を含んだ水を装置の外へ送り出します。さらに内蔵したセラミック担体が、好気性微生物が定着して働くための場所を提供します。

この設計の意図は、DOの数値そのものを高く保つことよりも、酸素を含んだ水を現場の隅々まで行き渡らせ、酸素の切れ目をつくらないことにあります。散気管による通常の曝気では気泡が周囲の水にだけ酸素を渡して水面から抜けてしまいますが、水そのものが酸素の運び手になれば、上昇流から外れた領域にも酸素が届く経路ができます。

社内検証:曝気を止めてもDOが均一化する傾向

90Lの塩素除去市水に池の水10Lと有機たい肥450g(大豆+鰹)を入れた同形2槽を用意し、一方に「BOリアクター」、他方に「BO筐体のみ(セラミック担体を抜いたもの)」を設置しました。同量の曝気(30L/60sec)で開始し、静置 → 再曝気 → 曝気なしで棒による静かな攪拌 → 別槽へ移送、と条件を段階的に変えて比較しています。

BOリアクター設置槽では分解初期から泡が細かく、8日間の静置後に再曝気した際も小さな泡で済んだ一方、対照槽は静置前と同じ大きな泡を再発しました。曝気を止めて棒でゆっくり攪拌するだけの段階でも、BO設置槽は水面・中間・底のDO値の収束が早い傾向を示し、処理水を別槽へ移送した後も同様の傾向が維持されました。

この結果の扱いについて。上記は当社の社内比較実験に基づく観察であり、第三者機関による検証や査読を経た研究成果ではありません。現場条件が変われば結果も変わり得ます。実験条件と経過の詳細は技術解説ページの検証実験に掲載しています。
BOリアクターの製品情報 既存技術との違い
Limitations
Precondition

水が動く場所であること

装置本体に動力機器を持たないため、自然水流のない閉鎖環境では外部ブロワが必要です。水がほとんど動かず、かつエアを送る手段も用意できない環境では、期待した変化は得られません。

Time

厚く堆積した汚泥には時間がかかる

長年たまった汚泥や厚く積層したバイオフィルムに対しても、微細バブルと好気環境によって徐々に改善へ向かわせますが、即効性はありません。分厚い堆積ほど長期的な利用が前提になります。

Scale

需要が大きすぎる場合

原因03(酸素の需要が供給を大きく上回っている状態)では、装置の台数・配置の見直し、あるいは初期の清掃・除去との組み合わせが必要になります。1台で解決するとは限りません。

短期間で結果を確認したい現場には、初期の清掃・除去とBOリアクターによる維持を組み合わせたご提案をしています。長期的に取り組める現場であれば、BOリアクター単独でも徐々に改善へ向かいます。現場の構造に応じた設置台数・位置は、現地の状況をお聞きしたうえでご提案します。

FAQ

よくあるご質問

ブロワの風量を上げれば、DOは上がりますか?
上がる場合もありますが、上がらないことも少なくありません。酸素が気泡から水へ移る量は、気液の接触面積・接触時間・飽和量との差で決まります。気泡が大きいままで風量だけを増やすと、増えた空気の多くは酸素を渡しきる前に水面から抜けてしまい、電気代だけが増える結果になりがちです。また、酸素が届かない領域(デッドゾーン)が原因の場合、風量を上げても上昇流の勢いが増すだけで、その領域には届きません。
水面は泡立っているのに、底のDOがゼロです。なぜですか?
曝気が散気管の直上に上昇流をつくり、そこから外れた底部・隅・隔壁の裏に水が動かない領域が残っている状態です。酸素を含んだ水がそこまで運ばれないため、槽の平均DOがそれなりの値でも、その領域の内部は嫌気状態のままになります。汚泥やスカムが特定の場所にだけ溜まるのは、この偏りの現れです。対策の方向は、風量を増やすことではなく、水を動かして酸素を運ぶ経路をつくることです。
夏だけ状況が悪化するのはなぜですか?
水温が上がると、水に溶け込める酸素の上限(飽和溶存酸素量)が下がります。淡水1気圧の目安では10℃で約11.3mg/L、30℃で約7.6mg/L です。同時に、水温が上がると微生物の活動が活発になり、酸素の消費速度が増えます。供給の上限が下がり、需要が増えるという2つが同時に起こるため、同じ設備・同じ運用でも夏季はDOが下がりやすくなります。
散気管の掃除をすれば解決しますか?
原因が散気管の目詰まり・偏り(原因05)であれば、改善します。ただし、目詰まりを解消しても気泡が大きいままであれば酸素移動の効率は変わらず、デッドゾーンが原因であればその領域には依然として酸素が届きません。まずは複数点・複数深さでDOを測り、どの原因が主なのかを切り分けることをおすすめします。
BOリアクターを入れれば、曝気設備は不要になりますか?
環境によります。海・河川・配管内・循環ポンプのある水槽など、水が自然に動いている環境では外部動力を必要としません。一方、貯水槽・汚水槽・堆肥化槽のように水が動かない閉鎖環境では、外部エアブロワと組み合わせて運用します。この場合、既存の曝気設備を置き換えるのではなく、送り込まれた空気の酸素を効率よく水に移し、それを槽全体へ運ぶ役割を担う形になります。
どのくらいの期間で変化が現れますか?
現場の規模・水質・課題の深刻度によって異なります。水が入れ替わる飲水系統や、曝気の効いた槽から先に変化が現れ、畜舎全体や排水路の下流に波及するには水が現場をひと巡りする時間が必要です。長年たまった汚泥が厚い現場では、長期的な利用が前提になります。夏季と冬季でも進み方が変わります。実際の経過は導入事例および現場レポートをご覧ください。

References

出典・参考資料

自社検証
溶存酸素(DO)均一化と効果の持続 — 同形2槽による多段階比較実験 有限会社シューコーポレーション 社内実験。90L塩素除去市水+池の水10L+有機たい肥450g、同形2槽(BOリアクター/BO筐体のみ)による比較。曝気30L/60sec → 静置 → 再曝気 → 攪拌のみ → 別槽移送。第三者機関による検証は受けていません。実験の詳細
自社検証
海底堆積物の分解再現実験 — 水槽底部に鶏糞10kgを堆積 有限会社シューコーポレーション 社内実験。海底ヘドロ堆積を模擬した水槽で、装置周辺の水流と堆積物の変化を観察。底面と平行に滑る反時計回りの水流を確認(通常曝気では発生せず)。実験の詳細
現場記録
養豚場における臭気改善の記録(沖縄県うるま市) 琉球協同飼料系 養豚場(1,000〜2,500頭規模、10t飲水タンクに設置)での導入記録。臭気指数75〜88%削減、近隣からの苦情ゼロ。事例ページ
一般知見
酸素移動・飽和溶存酸素量に関する記述について 本ページに記載した「気液接触面積・接触時間・飽和量との差で酸素移動量が決まる」という考え方、および水温別の飽和溶存酸素量の目安は、水質工学の分野で広く用いられている一般的な知見です。特定の文献に基づく独自の主張ではありません。実際の設備設計にあたっては、専門の設計者・自治体の指導基準をご確認ください。
本ページの位置づけ。一般的な水質工学の知見と、当社の社内検証で観察された傾向を分けて記載しています。現場・実験に裏付けのない効果の記述は掲載していません。追加の実測データや実験条件の詳細については、お問い合わせよりご請求いただけます。
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