水

​「水つくり」開発ストーリー
水物語その54 ある畜産農家との出会い③

前回までに紹介した良一さんには
ただ一人、親しくしている酪農家がいました。
報告会を終えた後、良一さんから頼まれ
その酪農家に会いにいくこととなりました。
彼の名前は「丑之助(うしのすけ)」といい、
大きな酪農家の二代目で良一さんとは

ひとつ違い。
中学校からの付き合いで

北海道に視察にも一緒に行き、
帰ってくるなりすぐ水つくりの中型を注文し、

自分で設置したとのこと。
そして良一さんとは真反対で

よくしゃべる男だと、
向かう車の中で教えてもらいました。

住宅がぽつぽつと点在する畑の中、
丑之助さんの牛舎は大きな構えで

建っていました。
入口を進むと、

井戸のうしろに自身でつけたという
呼び径が1インチの水つくり中型があり、
上手に設置されたそれを見ていると
「やー、せんせ」と本人が現れました。
「先生は止めてくれよ」と私が言うと
「俺にはみんな先生だ。お礼が言いたくてね」
と親しさを示しました。

「良一、生まれ変わりましたね。あんなに続けてあいつの声を聞いたのは初めてだ。」
「報告会に来てたの?」
「来てました!壊れたラジオが

ずーっとしゃべるんだもの、たまげたなー」
「壊れたラジオ?」
「アイツはつながった時しかしゃべらんから。

それがあんなに長ーくえばってねー!」


前情報通りな彼は、

自分と良一さんの関係について
どんどん話してくれました。

 

まず、丑之助さんの名前は彼の父親が
生まれる前から跡継ぎにするつもりで

つけたもので、
小さい時から牛についてのいろはを
厳しく教え込まれたそうです。
中学生になった頃には、
ほぼ一人前の牛飼いとして働いていたとのこと。

一方、良一さんは
『小中学校の成績表に「良」が一つだけあった』
という彼の父親のエピソードを

そのまま名前にされ、
牛のことは何も教えられなかったそうです。
ただ、良一さんは人一倍、牛が好きだったので
進んで家業を手伝っていたそうです。

 

同じ酪農家の息子として生まれた二人は
やはり「牛」で繋がっており、

出会った頃から丑之助さんが良一さんへ

牛飼いのあれこれを教えるという
友情だけではない関係性でした。