「水つくり」開発ストーリー
水物語その29 子どもに教わったこと①
水つくり装置を設置し始めてすぐ、
二人の子どもから
教えられたことがあります。
【その1】喘息持ちの小学5年生男子の場合
春休みに喘息症の小学5年生の男の子を
お母さんが社に連れてこられた事が始まりです。
お話を聞いて、「水つくり」の説明をし、
畜産の実例話から届いていた
鶏卵をお見せしたところ、
その子が「お母さん、この卵食べられる!」と
言いました。
お母さんは
「だめよ!あなたは卵を食べると
発作が出るでしょ!」
と止めましたが、
私は「本人がそう感じているのだから、大丈夫かも知れませんよ」となだめて、
その子が選んだ卵をお皿に割りました。
その子はちょっと見つめてから
ツルッと飲み込みました。
どうなることかとお母さんは
息を詰めていましたが、
その子は体に納まるのを確かめるようにして
「おいしい」と静かに言いました。
そうしたことがあり「水つくり」を
すぐに付けてほしいということになり、
お母さんは卵を1パック買って帰り、
その後も卒業するまで毎週買いに来られました。
「水つくり」を設置するために
自宅にお伺いした時、
家の中に入ったのですが、
彼の喘息の原因がホコリにあるとのことで、
注意のされ方は並大抵のものではなく、
これが毎日だと大変だなと同情しました。
「水つくり」設置後もお母さんは毎週
卵を買いに来られ、
彼の症状も少しずつ治まって来ていると
嬉しそうに告げられました。
夏を過ぎて秋になり、
主治医の先生から彼が
修学旅行に参加しても良いと許可が出たと
報告があり、
ついに修学旅行中は発作も出ず、
無事に終えたと知らされました。
そして翌年の春、6年生になるに当たって
「僕、もう普通の人と
同じ人生を考えても良いんだよね」と
彼が言ったと
お母さんが涙を浮かべて伝えてくれました。
こちらも胸が熱くなり
「よかったですね!
来週メンテナンスに行きますから
彼に会うのが楽しみです」
と祝福しました。
メンテナンスの日、作業をしていると
彼が傍に来てニコニコと挨拶してくれました。
あの青白かった顔が健康な肌の色になって、
体にも力が満ちていました。
「よかったね、もう薬は飲んでいないんだね」
と聞くと
「はい、あれから一度も飲んでいません」
「あれからって、修学旅行から?」
「いえ、あの時、卵を食べてから」
「え!そうなの?」
「水つくりもすぐ付いたし、、、」
詳しく聞いてみると、修学旅行の時は、医師から「発作が出そうだなと思って飲んではいけない。発作が出たら飲むんだよ。」
と言われて自分でも挑戦した。
そして、ついに薬を飲まずに乗り切れたので
自信がついた。
それから、勉強もはかどり、
中学は私立の男子校へ行きたいと思っていると
しっかり話してくれた。
作業を終えて、お茶を頂きながら
彼の話をしていましたら、
お母さんが
「水なんかで治るはずないですよね」
とひとことつぶやかれました。
アレッと思いそのまま聞き流しておいとまし、
そのことを考えながら歩いていましたら、
「おじさん!」という彼の声がして振り向くと、「お母さんはああ言いましたけど、
僕は水だと思っています。」と
真っすぐ私の目を見て言いました。
「そうか、水だけではないかも知れないが、
何より君の自信だよ。
もう大丈夫だ。好きなことやりなさい」
「はい、でも、僕は水だと思っています!」
彼は重ねてきっぱりと言いました。
「うん、わかった、よかったね!」
私も彼の目を見て言うと
「はい、ありがとうございました。」
気持ちが伝わる一礼をして、
彼は走って帰って 行きました。
翌年、彼は念願の中高一貫の私立男子校に
合格し、
家から30分かけて自転車で通学、
バスケット部に入って
それまでの運動不足を取り返すように
打ち込んでいると聞きました。