水

​「水つくり」開発ストーリー
水物語その62 オカピの取材④

大勢の村人に迎えてもらった、翌朝。

ムグティ族について調べている

国際機関エプルステーションの

研究スタッフに連れられて

ムグティの村に向かいました。

スタッフの子どもたちが

後ろから着いてきていましたが

村に近付いてくると戻っていくので、

現地人の子どもとムグティの子どもたちは

交流はないことを察しました。

研究スタッフに案内されたムグティの村は、

うっそうと茂った密林の中にあり、

その狭い地面を囲むように

6〜7棟の住居がありました。

背が低いと聞いていましたが、

成人の男女で120cm前後。

なぜか子どもたちは

そんなに小さくは感じませんでした。

彼らの視線を受けながらも

私たちはまず長老のもとへ向かいました。

 

長老の家でオカピについて

質問をする予定でしたが

すぐさまオカピの森へ案内されました。

長老と青年4〜5人が先頭グループとなって

案内してくれるのですが

その歩きがとにかく早いのです!

裸足の短い足をサツ、サツ、サツと運んで、

林の中をどんどん進んでいく背中に

付いて行くのがやっとです。

私は、録音スタッフが背負っているリュックと

三脚を奪って「先に行け!」と伝えました。

リュックにはカメラのバッテリーと

テープが入っていて20キロほどあります。

録音スタッフは若いのですが、

録音機とマイクとリュックを

背負ってはとてもついていけないと、

咄嗟に判断したのです。

レポーターの竹田津夫妻もカメラスタッフも、

ほとんど駆け足で付いて行って、

森の中に見えなくなりました。

森の中には細いけもの道があり、

迷うことはありません。

私は、重いリュックと三脚を担いで

ともかく追いかけました。

ようやく追いつくと

カメラマンが遠くを指さします。

「居たの?」

「見えるけど撮れない」

と、私が担いできた三脚を受け取り

そのままカメラを設置しました。

その間に「あそこ!」と竹田津さんが声を上げ、

指さす方を見るのですが、私には見えません。

カメラマンが600ミリの望遠レンズをセットして

「見て!」と合図するので覗いてみましたら、

たしかに密林の枝葉の中に

動くものが見えましたが、

姿形は全く分かりません。

「これ以上近づくと逃げられるんだって!」

とカメラマンが教えてくれましたが

この映像だけでは番組になりません。

「密林じゃないところで見れないのか?」

と通訳に聞くと、

ムグティの青年たちからは

「自然のオカピは密林の外には出ないそうです」との回答。

「そんな!ここまで来て!

オカピの姿を撮らずには帰れないよ!」

と私がテレビ局のプロデューサーの顔を

思い浮かべながら呻くと、

竹田津さんが

「ステーションで飼っているオカピが撮れるよ」

と助け舟を出してくれました。

「それしかないか!

森の中ではこんな風にしか見れない、

撮れないのだ、

ということを撮っておこう!」と、

600ミリの望遠で

密林の中で動くオカピの影を撮影しました。

撮影を終えてやれやれと緊張が解けたら、

カメラマンがムグティの一人の青年を指さして

「この青年があのレポーターは弱いから

私を雇えって通訳を通して

僕に言ってきましたよ」

「ええッ?」

「あなたがよたよた来るからですよ。

あの人がボスだと言ったら、

びっくりしてたね」

どうやらビリで到着したボスは

見たことがなかったようだとみんなで大笑いし、

ステーションへの帰りは

森の中をゆっくりと回り道しました。

道のあるところで、長老が道の真ん中に立ち

通るのを避けるよう指示し始めました。

青年たちも道の脇に並んで立ち、

私たちを迂回するように誘導します。

2〜3メートル迂回して道に戻ると、

長老は私たちを呼び止め、

今迂回した所を見ろと言い、

道を覆っていた落ち葉と草を剥いで見せました。

何と、そこには深い落とし穴がありました。

この落とし穴でオカピを捕らえるのだと

長老は身振り手振りで

その時の様子を説明してくれました。

太古からの暮らしを続ける

ムグティの民とオカピの姿を見て、

ステーションでのオカピとの対面への期待がさらに大きくなったです。