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水物語その110 ローマのごみ処理事情①

パリ、ドイツとヨーロッパの先進的なごみ処理現場を目の当たりにした

私たち取材陣が次に向かったのはイタリア・ローマ市です。

1975年の11月5日から8日までの4日間取材しました。


ローマに来た最大の目的は市のごみを処理しているというザール社が開発した、全てのごみを自動で分別する『RRRシステム』の取材でした。


もちろんアポはとっているもののザール社については殆ど詳しい情報がありませんでしたのでまずは市の清掃局の“公式”取材からスタートしました。


ローマ市の清掃局は、中心地から少し離れたエウルという1930年代にできた当時では

まだ新しい地区にありました。

ローマ万博のために建設された近代建築も多く特に有名なイタリア文明宮はコロッセオを彷彿とさせる外観で現在、有名ハイブランド フェンディの本社となっています。

清掃局も、モダンな空気を纏う4階建のビルにありました。

案内された局長室では清掃局長のルゲッロ・スクワットリティ氏が明るく出迎えてくれイタンビューにも快く対応してくれましたが、実際話してくれたのは秘書の青年でした。


彼はアポイントを取る際、一緒に依頼していた質問リストの内容をスラスラと答えてくれました。

『ローマ市の人口は現在290万人。

 1日に出るごみの量は約2000t。一人当たり約700gです。

 ごみ収集は毎日朝6時半から12時まで。

 家庭ごみが90%、10%は商業と工場からのもの。

 内訳は、紙20%、プラスチック4%、金属3%、ガラス6%、有機物30%、その他37%です。

 処理方法はまず、ザール社が全体の3分の1を再生処理しています。

 余った10%は埋立て処理をして、

 残りは2か所の焼却場で燃やしています。』


通訳のために区切りながらも事務的に答える彼の横で、

局長は「その通り」という笑みを浮かべてうなずいて見せました。


やっと一段落したところで、

「ごみの中のプラスチックの割合が他の国に比べて多いようですが問題はありませんか?」

と飯島さんが質問しました。

するとここで局長が「何も問題はありません!」と大袈裟に手を広げて答えたのです。

その後も、いくつか市として抱えている問題などがないか 質問をしましたが そのたびに首を振って「問題ない」の一点張りで、

ごみの再生処理については「ザール社で取材したらわかる」という回答でした。

最後に、焼却場と埋立地の取材を申し込みましたが

「それは予定になく、これから手配するので決まったら連絡する」

と言われ、その日は終わりになってしまいました。


なんだか釈然としない気持ちのままビルを出た私たちは、次の取材まで時間が空いてしまったので、街のレストランへ本場のパスタを食べに向かいました。


午後は、ローマ市民の一般家庭でどのようにごみが出されているのか、実際のお宅へ伺い撮影することになっていました。

 
 
 

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