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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その97 プラスチック処理促進協会の始動

「社団法人プラスチック処理研究協会」は

設立から8ヵ月後の1972年7月に

「社団法人プラスチック処理促進協会」と名前が変わりました。

元々のメンバーに加え、大手企業の総務部長や

広報課長が委員となるなか、委員長は清水さんで、となりました。

また協会が進めていくべき3つのテーマも変わらずに

採用されることとなり、まずは、

「プラスチック廃棄物を再生加工する実例の紹介」

に取り掛かることとなりました。


プラスチック処理促進協会、略して「プラ協」では

日本にある民間の再生加工業者を隈なく調べていました。

それらの技術を評価して支援することも協会の目的のひとつでした。

調査結果は毎月の広報委員会に報告されていましたが、

オブザーバーの私は調査が出そろうまで待たされました。

約1年後、候補が決まったので来るようにとの連絡が来ました。

候補企業は北海道、東北、関東、中部、山陽、四国、九州に亘る20数社でした。

そして、シナリオハンティングに条件がつけられました。

広報委員と一緒に回って「それぞれの企業の診断をすること」でした。

協会には、プラスチック廃棄物の再生を手がけている全国の企業から

沢山の支援の申し込みが寄せられており、

あらかじめ怪しいのは省いて選んだのだが

現地に行ってその裏付けを取って来てほしいというのです。


「全国に亘るこれだけの会社を調査するには3か月は掛かります」と言うと

”構わない、その分の費用も出す”ということで決まりました。

広報委員の方が相手毎に入れ替わって、

シナリオハンティングとロケーションハンティングを行いました。

そして、10社に絞ったシナリオを書いて提出しました。


前回に書いた築地市場の発砲スチロールの魚箱が

ニューヨークのクリスマスツリーの電飾ライトになることも盛り込んだのですが

それは却下されてしまいました。

その代わり、再生プラスチックによる「仏壇」をつくっている

現場のシナリオが採用されました。

10社に絞ったシナリオは再度書き直しをし、

協会での了承がおりて、3か月掛け撮影取材を行いました。


そして1974年に「よみがえるプラスチック廃棄物」という

47分の社会教育映画が完成しました。

プラスチックが「悪」であるという社会の風潮に負けず、

国内で奮闘する再生加工業者の現場を伝えた映画です。

この映画は、その年の産業映画コンクールで教養部門の最優秀賞を受け、

日経連のビデオライブラリーに200本納入し、全国に寄贈されました。

国民生活センターからは「良い消費者教育映画」に推奨され、

協会の無料貸し出しが半年で300回に達しました。

これは、プラスチックごみ問題がいかに

まだ世間に周知されていないことがわかると同時に

社会的に関心の高い課題であることの証明でした。


本当は、以前のように映像の一部をご紹介したいのですが

残念ながら素材が手元にありません。

「プラスチック循環利用協会」と名前を変えた

現在のプラ協”に連絡したところ

なんと当時の映像は全て処分してしまったとのこと。

製作会社へも問い合わせたのですが

原版は文化庁に寄贈済みで、借り出してDVDを作るには

少なくとも20万円は掛かるとのことでしたので断念しました。


この作品で取り上げた10の再生業社の内、

市場に受け入れられて生き残ったのは2社です。

そのことは、7年後の1981年に作成した

「新しい産業の誕生ープラスチック再生加工品の世界ー」で

詳しく紹介しています。

この映画のDVDは手元にありますので、後々の回で映像も含めて紹介します。


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