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水物語その94 プラスチックごみの処理問題

ごみ問題を抱えながらも1970年9月13日、

大阪万博は大盛況の中、閉幕しました。

開催に合わせて鉄道網や高速道路が整備された結果、

その経済効果は全てを含めると2兆円以上といわれており

新たな文化を日本に広めるキッカケともなりました。

「少し先の未来」として紹介されていたのは

電気自動車や電動自転車やテレビ電話など、

いまや日常になっている文化や技術が展示されていたのです。

当時のことを調べているとこんな記事が出てきました。

持ち帰り寿司で有名な「京樽」が万博に出店した際のお話です。

前後は少し省略しますが一部抜粋でご紹介します。

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(以下、引用です)

「京樽」は名店街と中央広場、木曜広場、金曜広場の4カ所に店を出して、

当社オリジナルの「茶きん鮨」や海苔巻き、いなりすしを始め、

うどんやかき氷も販売していましたが、とにかくどれも飛ぶように売れました。

万博会場には飲食店が集まる広場がたくさんありましたが、

とにかく来場者があふれていたので食事処は

とても足りないという状態だったと思います。

ところが、あまりに売れたせいで、途中ですし類の販売に

ちょっと問題が出てきました。

実は、当社のすし類は紙の使い捨ての容器で売っていたんですが、

あまりの売れ行きに食後の容器ゴミが万博会場にあふれてしまって、

万博側から「京樽さん、何とかして」とSOSが来たんです。

それで、開幕から1カ月ぐらい経った頃に、

使い捨て容器を使ったすし商品の販売をストップしたんです。

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【引用元】

さぬきうどん未来遺産プロジェクト/1970年の大阪万博に出店していた『京樽』で「うどん販売」を行っていた髙橋さんの証言


これはほんの一部ですが、出店していた飲食店は

どこも同じような状況だったと想像ができます。

紹介した記事では「紙の使い捨て容器」を使用していましたが

これは万博協会が開催前にプラスチック容器の全面禁止を決めていたためです。

しかし、外部からの混入は完全に避けることはできません。

紙とプラスチックが完全に分別されないまま、

会場内で発生したごみは全て紙袋に包まれ、牽引車で運ばれていきました。


閉幕後、あれほどにぎわっていた新聞には

「プラスチックごみの影響か?全国の焼却炉が損壊状態!」

「埋め立て処理は正しいのか?」

「風に舞うプラスチックごみ!」

という文字が次々と並びました。


実は、この頃の日本ではプラスチックが急速に普及したため、

万博会場内のみならず、一般家庭からも紙ごみと混ぜて出されていました。

プラスチックごみの中には

熱量が11,000キロカロリーもあるものがあり、

燃やすと高熱により焼却炉が傷むのです。

その当時の処理場は2,000キロカロリー以下の可燃ごみを

燃やすことを前提として造られていたので

炉の耐火レンガが崩れるなどのトラブルが次々と起こっていたのです。


このように続く報道に対し、人々はだんだんと

「プラスチックそのものが悪いもの」と考えるようになりました。

この風潮に私は

「プラスチックは使い方次第である。

正しく使い方がこれから求められる技術なのではないか」

と強い疑念と想いが湧き上がりました。

しかし、元々は自然には無かった物質です。

まずは、プラスチックを作っている石油化学業者に

取材をしようと動き出したのでした。

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