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水物語その83 スポーツ水泳の学び②

野村教授が提唱される泳ぎ方の基本理念は

「人間が本来、身体に備えている機能に合わせて泳ぐ」ことです。


教授の理念に沿った正しいクロールの泳ぎ方は

舟を漕ぐ櫓(やぐら)のように

手のひらを斜め手前に引く、

又は横に開いて、後ろへ抜き上げる

という泳ぎ方が自然で合理的だというのです。


私が中学の頃に指導された

手のひらで手前に掻く泳ぎ方は

抵抗による渦が手の後ろにできる上、

身体の構造と筋肉の付き方に反しているというのです。


取材のため筑波大学へ向かい、

野村教授からこの理論を聞いた時

頭では理解したのですが、

それまで泳いできた身としては

腑に落ちないところがありました。


それを感じ取った教授は

「泳いでみますか?」と私に提案し、

そのまま筑波大学のプールへ連れて行ってくれたのです。


貸して頂いた水着に着替え、50mプールの中へ入ると

教授から「何で泳ぎますか?」と聞かれたので

「クロールです」と答えて

私は1コースを泳ぎ始めました。

もちろん、先ほど聞いた理論に沿って泳ごうと

手のひらをかくのですがうまくできません。

頭では理解しているつもりですが

かつて散々練習して染み付いてしまった泳ぎ方になってしまいます。

「これではない」「これは違う」と心の中で言いながら

私はとにかく泳ぎました。

そして、プールのふちに捕まり顔をあげると

その横をずっと付いて歩いてくれた教授が

「わかりましたか!」という顔で微笑んでいました。


実際に泳いだことで

私がなぜ納得できなかったのかがはっきりと分かりました。

経験を理由に古い習慣に囚われていたのです。


技術をアップデートさせるには、まず今までの考えを捨てること。

そして、新たな方法をゆっくり繰り返すこと

ひとつひとつの動きを意識しながらできるだけゆっくりと行うこと。

それを何度も何度も繰り返していると

意識をしなくてもそうやっている自分に気が付きます。


サラッと書きましたが

本当にそれが分かるまでには実は3日掛かったのです。


そのあとも教授から

「よい」といわれるまで泳ぎましたが

もう少し身体が覚えるまでまで泳がせてくださいとお願いして、

先生が帰られてからもとにかく練習しました。


夜になるまで泳ぎ続けてから、

学生食堂で晩ご飯を食べてから

先生の自宅にある水泳部の合宿所へ向かいました。

その夜は、留学されていたウィスコンシン大学での泳法研究の話を聞き、

そのまま泊まらせてもらいました。


翌日から二日間、いかにしてこの理論を伝えるか、

そして、その撮影方法についての打ち合わせを行いました。


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