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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その66 タロイモ料理

カイナバヨンガ村での主食はタロイモ。

村人たちはどのようにして食べているのか、

村人の家で実際に見せてほしいと

案内人に頼みました。

タロイモ畑でイモを掘っている様子を

撮影しながら待っていると、

案内人が村の1軒でOKが取れたと

連れて行ってくれました。


竹網に土壁を巡らした

わらぶき屋根のその家に住む家族は3人。

ご主人と奥さんと、

生まれて10か月の男の子です。

扉のない入口から入るとすぐ脇に

鋤(すき)や鍬(くわ)などの農機具が

置かれていました。

その隣には石を囲むように並べて作られた

火起こし場と食事場所、

そして奥には家族が集う居間とベッド、

とまでは言えませんが

寝台(しんだい)がある部屋がありました。

編んだ竹に赤い土を塗り固めて作られた

その壁は、

1944年に私が疎開していた

大分県の田舎にそっくりで、

鋤(すき)と鍬(くわ)もあの頃、

見たものと同じように感じました。

家の中を撮影していると、

なにやら外からにぎやかな声が

聞こえてきました。

出てみると玄関前で、

近所の主婦と娘たちが集まり

杵(きね)とまっすぐな臼(うす)を使って

タロイモ粉を作っていました。

直径40cmほどの茶色い木の臼に、

切って乾燥させ、

白くなったタロイモをいれ

7〜8歳の娘たち3人が

慣れた手つきでつき始めました。

彼女らは相当長い時間をかけて

この作業をやっているようでした。

近くで見ている母親に

一緒にやらないのか聞いてみると

「これが娘の役目だ」と言って笑っていました。

よく見ると母親たちは

赤や黄色の派手な模様が描かれた服を

着ていましたが、

娘たちは全員白い半袖にスカートという

シンプルな装い(よそおい)でした。

服装の違いもこの村では普通のことのようです。

ある程度、粉状にできると次は

’ふるい’にかけ、

ようやくタロイモ粉の完成です。

すると取材をしていた家の奥さんが

完成した粉を小さな鍋へたっぷり入れると、

家のかまどにかけて煎りはじめました。

柄の長いしゃもじのような棒でかき混ぜながら

少しずつ水を加えていくと、

だんだん粘りが出てきてお餅のようになります。

最後は火から下ろし、

鍋を両足で押さえながら勢いよく混ぜます。

これが「フゥフゥ」と呼ばれる料理だそうです。

奥さんがお皿に盛り、

ご主人の前へ差し出します。

一緒に、緑色をしたソースのようなものを

並べています。

これはほうれん草のような野菜に

塩を加えて茹でて練ったもので、

フゥフゥにつけて食べるようです。

そして食べ方にも

この村独自のルールがありました。

まずは、ご主人がソースをつけ、

三口食べたところで

奥さんが「味はどうですか?」と尋ねます。

そしてご主人が「おいしいです」と答えると

他の家族も食べ始めるのです。

残念なことに試食はできませんでしたが、

食べたことのある竹田津さんは

「いやーおいしいよー、

日本の白米と同じような感じかな」

と後から教えてくれました。


▼以下写真資料ー番組映像から▼

※制作会社・グループ現代より許可を頂いて掲載しています。


撮影した住宅


家の中にある農具




お手伝いをする娘たちと見守る母親たち


フゥフゥを作る様子




フゥフゥを食べる家族



フゥフゥ









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