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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その6 肥溜の力

私は1938年3月生まれですから、


1945年の終戦の時は7歳、小学校2年生でした。



九州福岡県大牟田市の小学校に在籍していたのですが、


大牟田は炭鉱の町だったので空襲が激しく、


1年生の秋から戦争が終わる翌年の秋まで、大分県の山奥の村に疎開していました。


そこで、私は沢山の「肥溜」とその液を使って、


堆肥を作ったり、


作物にかけたりするのを見てきました。


また、転んで怪我をしたり、


何かの病気に罹った時にも


「肥溜」に差し込んである孟宗竹の中に


しみ込んだ液を付けたり飲んだりして治しているのを見たり体験していました。



実は、そのことを内水博士が液肥つくりの指導をされて、


その液の効果を家畜で証明されるのを撮影するまで、


忘れていたのです。



その液肥を牛・豚・鶏の飲み水の中に少し、1000分の1程度入れると、


家畜の健康度がグーンと上がります。



その効果は目覚ましいもので、


家畜の怪我や傷はもちろん、


作業者の怪我などもたちどころに治ってしまうのでした。



そんなことが有った夜の会食の時に、


私が疎開していた時のことを思い出して話しましたら、


「それだよ!」と言われ、


同席者に思い出話をさせられました。



ですから、大怪我を負ったカバの傷が一晩で治るということは、


あの大きなカバの池全部が

「肥溜」になっているということだと分かったのです。



と言うことは、


日本の百姓が作った「肥溜」の技法は、


発明したのではなく


自然の奥に隠れている自然の「原理」を読み解いて

技法化したものだったのです。



内水博士の液肥つくりも、大掛かりな装置の活性汚泥法も


同じことだったのです。


整理をすると、


太陽のエネルギーと地のエネルギーを吸収して出来た植物を、


生きものが取り込んで体つくりと活動エネルギーにします。


その排泄物を微生物が分解します。


分解されたものは土原料と生命活性液とガスになります。


そして、それぞれが生命エネルギーを活化し、


進化を支え、


人間に至ったということです。



その人間がこの地球生命圏の原理を無視したり、蔑ろにして良いはずがありません。


一方、今の人間社会の現実は、


その原理と離れ、あるいは無視して、


科学技術という技法で

人間にとって都合の良いように部分的に糊塗しているだけのように見えます。



薬や農薬・化学肥料も、


その有用限界を超えて、


その「原理」を壊すところまで来ているように見えます。



多くの人がそれを感じていますが、


経済と言う妖怪に囚われて、


それを止めることも転換することも出来ないでいます。



地球生命圏の「原理」に添った方が経済的にも有利であるにも関わらずです。



アフリカから帰って、


野生の王国の番組3本を仕上げた翌年の1990年4月に


私は映像制作を離れて


「良い水」を作る会社を発足させました。

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