内水先生の「土と水の自然学」の現場取材は1988年に始まりました。
それをもとにビデオ作品は翌年の春にまとめられ、
その後も、内水先生の「100対談」というビデオシリーズを制作し続けました。
その中で、腐植によって良質な水ができることは分かりましたが
腐植そのものの存在が限定的であり、量も制限されていることが明らかになりました。
そこで、
「腐植ができる土が出来る水を作ることは可能ではないか?」
という疑問が生まれ、内水先生に相談したところ
「出来るはずだ、ぜひ取り組んでほしい」と薦めていただき、
1990年に有限会社シューコーポレーションを設立しました。
今回は「土と水の自然学」を振り返りながら、改めて解説を行います。
まず、おさらいその1
「自然界には腐植系と腐敗系がある」です。
水物語の149では清水牧場で行われた実験を紹介しています。
清水さんの証言によれば、
「腐植を入れた土」と「従来の土」で育てた白菜の比較テストにおいて、
以下のような結果が得られました。
「従来の土」では、10日ほどで元の畑で育った白菜に青虫が寄り、
葉が食べられる一方、「腐植を入れた土」では
新しい葉には青虫が寄りつかず、
さらに日が経つとアブラムシも寄ってこなかったということです。
これに対する内水先生の説明は、
「堆肥場の堆肥にはハエがいたが、発酵が進むとハエはいなくなる。
これと同じ理由で、腐植系の土と一緒に生きている生き物にとって、
腐敗系の中で生きることはできない。
つまり、本来の土壌と一緒に生きられる生き物と、
本来の土に触れたら死んでしまう生き物がいるということです」
というものでした。
この事実と先生の解釈をまとめると、
地球の自然界には「腐植系」と「腐敗系」の2つが存在し、
それぞれの環境に適応した生き物が生息しています。
腐敗系で生きるハエと青虫は腐植系の環境では
生きることができない、
つまり、「腐植系」の環境を作れば
「腐敗系」の生物は寄ってこないことが証明されました。
水物語その151での近森養豚場でのインタビューも
振り返ってみます。
近森さんは
初めに病気が発生し、
仔豚が神経症状でくるくる回って
死んでしまう現象が起きたと語っています。
朝昼晩と懸命に「これ以上消毒できない」というほど
続け、何度も新たな消毒剤を導入しましたが
病気はなくなりませんでした。
原因解明のため県の病性鑑定を依頼すると
仔豚の脳細胞から溶血性連鎖球菌が検出されました。
しかし、原因が明確にこの菌であるとは断言されませんでした。
消毒の件を話すと検査官より
「連鎖状球菌は弱い土壌菌の一種ですが、あまり悪さをする菌ではない。
考えられるケースとして
連鎖状球菌を抑制していたであろう他の菌類を
消毒によって死滅させてしまい
急激に増殖し、現象が続いている可能性がある」
と助言をもらいました。
そのため、消毒を中止した結果、
病気の仔豚が減少したとのことです。
近森さんの体験から、
バクテリア群は階層を持って生息しており、
表面の悪い菌を殺しても、その下の階層の菌が
活動していることが考えられます。
そして、「腐植系」の環境を作れば、
「腐敗系」のバクテリアは活動できなくなることが再確認されました。
この養豚場の結果からも
「腐植系」の環境を作れば、
「腐敗系」の生物は寄ってこないということが証明されました。
以上がおさらいの第1です。
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