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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その164「土と水の自然学」の取材⑰~理論編~

内水先生は「理想的な沼の底質」と表現されますが、

ここでは分かりやすく、理想的な条件が揃った中で、

永い時間を掛けて出来た「沼の土」、もしくは「最高の土壌」と呼ぶことにします。


前回は、その「最高の土壌」が出来る自然の条件と

出来上がった「最高の土壌」が最悪レベルに汚れた水を

たちまちに綺麗にする実験の話をしました。


今回は、その「最高の土壌」ができるしくみを

理論的に解読する話です。

白板を背にして椅子に腰掛けている

内水先生が話しはじめます。

白板には次のような式が書かれています。


「有機物 + 土壌菌群代謝物 + ケイ酸塩 ⇒ 土壌系汚泥」


「最高の土壌というものが、どうやってできるのか、

それを理論的に単純に考えてみます。」

「まず、沼の水の中には有機物、生き物の死骸や

植物の枯れたものなどが含まれています。

一方、土の中では本来の生き様をした土壌菌群が棲息し、代謝物を分泌している。

さらに、火山灰や花崗岩に含まれるケイ酸塩があります。

これらの3つの成分が接触すると酵素反応も増大して、一部は分解してガス化。

残りは再結合して分子量が増え、沈降して汚泥ができます。

その汚泥は時間経過を経て腐植に向かいます。

出来上がった腐植と腐植に向かう

前駆物質を多く含む混合物が生成される。

これが『最高の土壌』と言えるものなわけです。

自然界は、この反応原理を何億年も前に作り上げており、

今もなお持続しています。」


実際に語られた内容を分かりやすく整理しましたが、

以上の内容は一回ですらりと語られたわけではありません。

言葉を尽くし、言い回しを変え、繰り返し語られています。


次に、自然が作ったこのような腐植を

掘り出して使うのではなく、

この自然の原理をよく理解して

「活性した汚泥」をつくる技術が出来ていることを語ります。


「世の中で、『活性汚泥法』という技術が

 100年以上続いていますがそこでの活性汚泥は、

 バクテリアも雑菌もコントロール出来ない汚泥、

 活性していない汚泥で、

 水がそこそこ綺麗になればいい程度ですまされている。

 その上、何らロジカルな解析もなされていないのです。


 自然の本来の在り様を読み解いて、

 土壌菌を本来の生き様に誘導し、

 その結果出来た汚泥を培養して「活性汚泥」をつくる。

 その「活性汚泥」を使って、

 これまで見てきた

 「高濃度の油分を含む汚水を処理する」

 「鶏の血液を含んだ排水を処理する」

 「高い塩分と調味液を含んだ漬物排水を処理する」

 その結果、真水に近い、環境規制値以下の放流水ができるのです。

 これこそ正に「活性汚泥法」と言って良いのではないかと思うのです。」


映像は、話の後半からこれまで見てきた施設の

<培養汚泥槽>の映像を紹介します。


<豊科町生活雑排水処理場の培養槽>


<放流水で飼育されている渓流魚イワナ>


<人吉総合食品団地協同組合 産業排水処理施設の培養槽>


<関東農産株式会社 美浦工場の培養槽>


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