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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その163「土と水の自然学」の取材⑯~理論編~

今回から理論編に入ります。

理論編もノーナレーションで作られています。

畜産編と処理編の現場事実を観ながら、

いろんな疑問が浮かび、更に詳しい説明を求める人に、

内水先生が突っ込んだ説明を様々なシチュエーションで行ったものです。

ここではそれを映像なしで紹介するのですから、

途方もなく難しい作業ですが、是非理解して欲しい内容です。


「土と水の自然学 - 理論編」のタイトルが消えると、

九州のある低い山々に囲まれて田んぼが広がる盆地の風景が写り、

最高の土壌ができる自然のしくみを語る内水先生の声が流れます。


「海の向こうに火山がありまして、この盆地と言っていい低い田んぼの周りを

ぐるりと山が囲んでいます。

盆地の広さは直径が2〜3キロで、海と田んぼの間に砂洲があって、

ごく狭い開口部が海と繋がっています。」

「昔、この田んぼ全体が沼になっていまして、

山が低い関係で雨が降ってもごくわずかしか水が入らなかったわけです。

沼の中には嘉(よし)葦(あし)がいっぱい生えていて、

火山灰がわずかに降っていました。」

「火山灰の成分と葦蘆(よしあし)というイネ科植物系の有機物に

土壌菌群が働いて、沼の底土がどんどんできていき、

その上に山から少しずつ土砂が流れ込みながら

現在の地形ができたわけです。」


「こういう沼の形、最高の条件が揃ったところは

良質の土壌というか、腐植物質が、永い時間を掛けて生成され、

蓄積されて、地球上で最高の土壌、

腐植ができるところなわけです。

ですから、かつては非常に美しい自然の姿が

見られたところではないかと思います。」


この現場を撮影した後で、現地の農家を取材しました。

なんと、それまで稲も畑の野菜にも

化学肥料と農薬は一切使っていないと語っており、

実際に収穫した立派な野菜を見せてもらいました。


次に、映像は、こうしてできた「腐植土」には、

どんな力があるのかを確かめる実験をします。


場所は処理編で紹介した長野県の「豊科町家庭雑排水処理場」の2階の事務所です。

内水先生の相手をするのは住民生活課の横川卓史さんです。


「地球上で最高の土壌とも言える腐植土を

 ここの原水と反応させたらどういうことが起こるかを

 見てみようと思います。これが、今日の原水ですね。

 データはいくらでしたか?」

「はい、BODが1万8500 ppmでCODが8200 ppmでした。」

「まず、原水を2つの100ccビーカーに採ります。

1つに腐植土を加えてかき混ぜます。

もう一つは比較するためにそのままかき混ぜるだけです。」


と言って、腐植土を水道水で溶いたものを、

原水を入れたビーカーに20ccほどそそぎ、

ガラス棒でくるくると4~5回まわします。

すると、原水の汚れた成分が綿のようにくっ付いて沈み始め

上の水が澄んできます。


「横川さん、両方のビーカーの臭いを比べて見てください。」

内水先生に言われた通り、

横川さんは両方のビーカーを交互に鼻へ近付け

「こちらは、全然臭いません。」

と腐植土の入った方を差し出します。


「これをね、もう一度こうしてかきまわすと、

 挙動が進んで、更にきれいになります。」

内水先生は再びぐるぐる7~8回ほどかき混ぜます。

すると綿状のソレがぐーんと増えて、

上の水がいっそう澄んできます。

「これがね、自然が本来持つ浄化作用の本体であって

 この作用が根底にあるからこそ

 すべての生き物が生きられる環境が整えられ、

 何十億年も生き続けて来られたわけでしょうね。」


本当は、汚水が変化する様子を動画で見ていただきたいのですが

写真にてご紹介いたします。


<最初の原水に腐植土を入れる>


<ガラス棒で2~3回掻き混ぜると>


<更に7~8回掻き混ぜたもの>


<巨大分子化が起きているのが分かる>


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