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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その162「土と水の自然学」の取材⑮~処理編~

処理編の最後は、多くの住人が住むマンションの生活排水処理に関してです。

マンションの全景が画面に表示されます。


「兵庫県明石市 土山駅前スカイハイツ」

地上14階 戸数647

画面が切り替わり、処理施設の入口には、

現場担当者を挟んで内水先生とインタビューアーの長崎浩さんが立っています。

長崎さんが早速インタビューを始めます。

「このマンションは建ってから何年になるのですか?」

「約10年になります」

「では、この施設も同時に出来たということですね。」

「はい、そうです。」

「この処理施設で対象になる生活排水の量はどのくらいですか?」

「一日250トンです、」

「建設当時からどんな問題がありましたか?」

「悪臭ですね。し尿と腐敗臭が施設全体に充満していました。」

「その臭いが漏れて、住民からの苦情は無かったですか?」

「はい、臭気はマンションの屋上までパイプで送り、

 強制的に廃棄され、拡散していましたから。」

「しかし、まあ、このマンションの屋上から、

 空に向けて悪臭を放っていたわけですね!」と,

屋上を見上げながら苦笑する内水先生。

長崎さんは質問を続けます。

「そういう問題があって、内水先生の技術が導入されることになったのはいつですか?」

「2年前です」

「それで、結果はどうなりましたか?」という質問に

担当者の曽田さんはすぐには答えられず

「それは、まー、常識的に考えますと、どうしても半信半疑になりまして、

 すぐには、」と口を濁します。


ここで、画面は地下の施設内で内水先生が検証を行うシーンに切り替わります。

「今は午前10時で朝の洗濯が終わって水量が少なくなっています。」

「これが調整槽ですね」と内水先生は蓋を開けさせて顔を近づけて

臭いを嗅ぎながら言います。

「全然、臭いしない。」


調整槽を覗き込む内水先生


そして「これが調整槽の水ですね」とサンプル瓶を持ち上げ

「データによればBODが2.5でしたね。透視度は7~80センチありそうですね」




「次は曝気槽内の水です。」 と、目の高さに透かして見て

「これは良いや」

「そして、これが放流水ですね。水道水並みだね。」


<原水のBODが166ppm 放流水のBODは0.8ppm

原水のCODが76ppm  放流水のCODは7.7ppm>

「この施設でスタートしてどのくらいになりますかね」

「約2年で、3年目に入ります。」

「バクテリアという生き物は春夏秋冬の1年を経験して、

くぐり抜け、2年目にならないと本当には安定しないですよね。」

と言う内水先生の言葉に担当者は深く頷きます。

「そうです。2年経ってようやく分かったような気が致します」

地下の施設内で、長崎さんが再びインタビューします。

「先ほど、内水理論というのは本当かという

半信半疑だったと伺いましたが

 実際にやってみた結果についての感想はいかがですか?」

「すばらしい技術だと感じています。」

「どんなところをそういう風に感じられるのでしょうか?」

「これまでの活性汚泥法というのは自然の一面だったと、

 内水先生の技術は本当の意味で自然の方法を技術化されているのだと

 思っています。」

「それで今この放流水を河川に流しているわけですね」

「はい」

「行政や住民からのクレームや苦情はありませんか?」

「一切ございません」

「ランニングコストの面では?」

「一番大きいのは曝気ブロワの電気代ですが、かつては24時間回していたのが8時間、

 3分の1で済んでいます。」

「では最後に、技術者としてこのような同じ施設を任されたら、

 同じ成果を上げて、周囲にも説明することが出来るでしょうか?」

「はい、できると思います。まだまだ未熟で勉強中ですが、

 これからも学びながら、同じ結果を出す自信があります。」

担当者の力強い言葉が、

マンションの全景の映像に流れ、

処理編は終了します。


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