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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その161「土と水の自然学」の取材⑭~処理編~

更新日:2024年5月21日

トップの映像は茨城県霞ヶ浦の水面を映しています。


画面上に「霞ヶ浦への放流規制値」のテロップが出ます。

「BOD 15ppm以下

 COD 15ppm以下

 T-N(トータル窒素 15ppm以下

 T-P(トータルリン) 1.5ppm以下」


単位のおさらいをしますと

BOD、CODはどちらも水の汚れの度合いを表す値で

数値が高いほどに水の汚れ度合いが強くなります。

BODは生物化学的酸素要求量、

CODとは化学的酸素要求量という意味です。

T-N値は水中に含まれるアンモニア性窒素、

硝酸性窒素などの窒素化合物の総合量、

T-P値はりん化合物や有機性りんなど

りん化合物の総合量を指します。

どちらも増えすぎると富栄養化による

プランクトンの異常増殖が起こり、

水質悪化の原因となります。


テロップが消えて右へパンすると

体育館のような大きな建物が映され

工場の名前がテロップします。


「関東農産株式会社 美浦工場」


工場内の映像へと切り替わり、

そこでは大量の黄色く染まった大根を前に

作業をする女性たちの姿があります。

奥では白い作業制服を着た若い彼と、背広姿の男性が話しています。

背広姿の男性は技術指導担当で、現場の彼に質問をします。

「これは何の作業をしているのですか?」

「1年間塩漬けしたのを味付けするための分け作業です。」

「塩漬けの塩分濃度は8%から13%あって、

 排水処理をする立場からすると非常に難しいものです。」

技術指導の彼が付け加えます。

塩分濃度が10%以上もある廃液では

どんなバクテリアでも死んでしまいます。

活性汚泥処理でバクテリアを働かせるためには

まず、塩分を抜かなければなりません。


工場から出る廃液の問題は塩分濃度だけではありません。

味付けをする調味液にはBODが3万ppmもあるのです。

次の映像は「ラグーン」という培養汚泥を行う池へと変わります。

この池は人工的につくられたもので

地面に掘られた穴一面に防水シートが敷かれています。

そこへ排水を溜め、培養汚泥で土壌の反応をさせます。

ここで初めて技術指導者の紹介テロップがでます。

「青木電器株式会社 高橋利洋(としひろ)」

青木電器は1984年から内水博士の技術を取り入れ

「土壌微生物応用技術による環境事業」として取り組んでいます。

この技術の呼び名を「自然浄化法」として広めていますが

培養汚泥で「ラグーン」を使うのはこの技術の「肝(きも)」と言えます。

塩の分子式は「NaCl」ナトリウムと塩素の化合物です。

この分子をまず水が「ナトリウムイオン」と「塩素イオン」に分離し

土壌が作るキレートが別々に吸着して、

塩を含まない液にするのです。

その液を活性汚泥法のプラントで処理すれば

イワナも棲める自然の水になるのです。

映像は広いプラントの上で技術の詳しい説明を聞きながら

プラントの複雑なフローがテロップで流れるのですがここでは省略します。


最後に放流水槽の前で放流水をコップに汲んで見せます。

放流水の水質は

BODが0.6から1.5ppm

CODが2.2から7.3ppm

トータルの窒素・リンも1ppmレベルで

霞ケ浦への放流基準値を大きく下回っています。


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