場所は事務所へと移ります。
ソファに並んで座る近森夫妻と
その斜め前に内水先生。
そして先生の隣には私、惣川が座っています。
これは
「内水博士だけを前にしては話しづらいから、惣川君隣に座ってよ」
という近森さんからのリクエストでした。
近森さんの話はあえて要約せずそのまま書きます。
(標準語で話していますが、発音とイントネーションは四国の安芸弁です。)
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「一番初めに病気が発生しましてね。
仔豚が神経症状でクルクル廻って死ぬんです。
病原菌が沢山居るからそういう病気もでるだろうということで
一生懸命消毒をしたんです。朝、昼、夜、
これ以上消毒できないというくらいやったんですよ。
消毒薬も何回も変えて。
ところがいつまでたっても病気がなくならない。
それで、この病気の原因はなんだろう?ということで
県の病性鑑定に依頼を致しまして、
データをお願いしたんです。
そしたら仔豚の脳細胞から
溶血性連鎖球菌が検出された。
どうもこれが原因ではないかと思われるが、
良く分からない。
「ひとつの考えられるケースとして
『俺はこんなに消毒している』という話をしたら
その検査官から
「連鎖状球菌は弱い土壌菌の一種ですが、
あまり悪さをする菌ではない。
にもかかわらず、こういうことが現れた原因の背景には
連鎖状球菌を抑えていたであろう他の菌類を
消毒によって死滅させてしまった。
それによって、急激に増殖してこういう現象が起きている
可能性がある」と言われたんです。
何だい!一生懸命消毒したってね、
この病気は無くならないんじゃないか、と。
そこで腹をくくりましてね、
きつい消毒やめようって消毒止めた。
止めてみたら比較的結果が良いんですよ。
まず、病気の仔豚が減った。
コストの掛かるこんな高いもの使う必要無いじゃないかと。
これがそもそも私が消毒をしなくなったはじまりなんですよ。
そして、たまたま取っておった水源が
開発によって破壊されたんですわ。
しかたがないので
近くの竹藪の中の池水を、
豚舎が乾いた時に散布した。
それが土壌菌群を有効な方向に
増殖させることが出来て、臭いも徐々に減り始め
その頃に内水博士と知り合うことになりまして
”なんだ!俺の言うことを先にやっとるじゃないか!”
ということで、かれこれ3年経ちます。
このやり方に入ると非常にエネルギーが少なくて済みますね。
ですから設備投資が少なくて済みますね。
近隣の皆さんにご迷惑を掛けることがない。
抗生物質はゼロというわけにはまいりませんが、
消毒剤は完全にゼロですから。
低コストの経営が実現できる。
何より、精神的にリラックスした状態でいられること!
何から何まで、よかったなー!”
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インタビューはここで終わりますが
この時点で豚への飲用水は、
農業用水を水槽に溜めて、
腐植ペレットと自然岩石を吊るして、
曝気=エアーレーションをしていました。
近森夫妻と内水先生と惣川
熱心に語る近森さん
話を聞く内水先生
竹藪の中の池
池水を豚舎に撒く近森さん
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