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水物語その150 「土と水の自然学」の取材④~農業編~

更新日:2023年12月1日

2つ目の現場は、

「近森畜産 高知県安芸郡半利町

 養豚一貫 3500頭

 1988年11月14日」

の字幕タイトルで始まります。


背景には近森畜産養豚場の全景が映し出されます。


まず経営者の近森さんを先頭に

内水先生と同業者の畜産家達が勢いよく歩いて

堆肥場に向かいます。

2メートル程の崖の上に建つ大きな堆肥舎で

出来上がった堆肥は山になっていて

手前にはらはらと落ちてきています。

「以前はもうここへは、

臭いがきつくて寄れませんでした」

と堆肥場を前に近森さんは説明します。


内水先生達はそれぞれ側へ寄り

堆肥をつかみほぐし割るとぐっと鼻へ近付けます。

「臭いしないね!」と口々に声を上げます。

「時間かけて醗酵させてるから、

腐葉土に近くなっている」

と内水先生が言うように

幅が20メートル、奥行きが40メートルある

高い屋根の大きな堆肥舎にも関わらず

臭いがしません。

堆肥の山の奥、

いわゆる新しくできたばかりの堆肥も

撮影しましたがそこにハエは一匹も居ませんでした。


次は、尿の処理装置です。

尿溜めの臭いを全員で確認するシーンとなるのですが

先に近森畜産の処理環境の説明をしておきます。

近森畜産の豚はみな網の目のスノコの上で育てられています。

糞尿の排泄はその場でするので

全てスノコの下へと落ちていきます。

固形の糞は自動的に集められ堆肥場に送られます。

尿は尿溜めに流れて落ちるしくみです。

尿溜めは四角いコンクリート製で作られており

何槽にも分かれています。


その最後の槽は"液肥"として仕上がったものです。

他の畜産家でも行われている処理ですが、普通はやはり強い臭いがあるものなのです。


映像のお話に戻ります。

内水先生をはじめとする全員が尿溜めを前にし、

その液を長い柄杓で汲み上げ

代わる代わる顔を近付けます。

そして口々に「臭わない」と首を横に振ります。


遂に、ある畜産家の1人が

液の中に片手を入れ、

感触を確かめるよう動かして

液をすくったその手の臭いを確かめます。

内水先生が私に

「惣川君、普通のところでこんなことしたら大変なんだよ。」と声をかけると

畜産家の人々も

「手についた臭いはぜったいに落ちない」

と強く付け加えます。


内水先生は近森さんへ

「これだけ濃い尿がここまで出来上がるのに

1年掛かっている。

曝気もしないでということは大変なことです。

これを豚に飲ませてみましたか?」

と聞きます。

「仔豚が喜んで飲みます。」と近森さんは

仔豚の居る豚舎にホースを引いて

実際に流してくれました。

すると仔豚たちはギャーギャーと鳴いて

次々に口を付けていました。


私は、生き物の尿が"飲める液肥"になるという

実例をそこで初めてみたのです。

1年間"溜めて置いただけ"で出来上がることの

凄さや意味もまったく分かっていませんでした。


この後、近森さんがどうしてこういう技術を始めたかを

養豚場の事務所で内水先生に話します。



内水先生と近森さんと同業者



幅20×奥行き50mの堆肥舎


出来具合を調べる内水先生と同業者


堆肥舎の全景


母豚の尿溜めを手で掬う


最後の槽の臭いを嗅ぐ内水先生


最後の槽の液肥を飲む仔豚


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