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水物語その147 「土と水の自然学」の取材①~内水護博士との出会い~

更新日:2023年12月1日

今回から私が水事業に入っていく

直接のきっかけになったお話しをしていきます。

以前の水物語でも何度も名前を出していますが、

内水護博士との出会いと

博士の現場をドキュメントした

記録映画「土と水の自然学」を作り上げたことは

私にとって欠かすことの出来ない経験です。


まず、この記録映画を作る最初のお話です。

1988年5月。

早稲田大学時代の友人にこんな話を持ちかけられました。


「内水護さんという東大の学者がすごい現場を作っているんだよ。

それを撮影して映画にしてほしいんだ。」

「撮影してまとめるのはいいけど、一体どんな現場なんだ?」

「俺も現場は見たことないんだ」

「それじゃ、考えようがないじゃないか」

「だから、内水護さんに会ってよ」

という誠に乱暴な切っ掛けがはじまりでした。

話はとんとんと進んで、

グループ現代の小泉社長と一緒に会うこととなりました。


最初の待ち合わせはお茶の水の喫茶店だったのを覚えています。

中へ入ると既に内水先生と他3人が待っていました。

一人は先生の大学時代からの友人Nさん、

もう一人は映像の製作費を出資するというS氏、

そして私へ撮影を依頼して来た友人です。


内水先生は私たちを見るなり

挨拶など必要ないという感じで

いきなり土と水と生命との関係を語り出しました。


”土壌の核は腐植”であること。

腐植で作った水を牛、豚、鶏に与えると家畜が健康になること。

その糞と尿を堆肥と液肥にして

田畑に入れると理想的な有畜農業が出来ること。

そして現代の農業、

すなわち化学肥料と農薬に頼っている農業を再生するには

この方法しかないと熱っぽく語ってくれたのです。


突然始まった土壌と現代農業の話ではありましたが

小泉社長と私はそれぞれ別作品で

現代農業の問題点をテーマにした記録映画をつくっていましたので

先生の話はよく理解でき、同時に非常に惹かれました。


小泉社長はグループ現代を設立した1967年に

長野県にある佐久総合病院の若月俊一医師と組んで

「農薬禍」という自主映画で

現在の化学肥料と農薬に覆われた農業について問題提起をしていました。

私は農薬と化学肥料を使わない農家と

その作物を直接購入する主婦たちの交流を

ドキュメントして発表していました。


これらは”農薬の問題提起” をした作品ではありましたが

新しい方法を提案するには至っていませんでした。

ですので、内水先生の浄化に土壌微生物の力を借りる、

いわゆる自然界の営みをそのまま活用する理論を

映像で記録できることは非常に画期的なことでした。

小泉社長とは確認するまでもなく製作することは”決まり!”となり、

内水先生達と朝まで語り明かしました。


翌日から取材方法と構成案の企画書に取り掛かったのですが

まったくペンが進みません。

実は、内水先生から話は沢山聞けたものの

ロケハン、いわゆる自分では直接現場を見ていないのです。

そんな状況で、私が書けた企画書は次のような原稿用紙1枚でした。


「ここに水が見えるという男が居る。

その水を使って作った現場がある。

その現場を男が尋ねて現場の人と話し合う。

そのすべてを記録しよう。

構成は全ての撮影が終了してから考えることとする。」


次回は実際の撮影方法と内容についてお話します。

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