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水物語その144 義務教育の現場で

ここまで、実際の授業の様子を

お話してきました。

このお話を書くにあたり

まず私は撮影当時の記憶を元に書きました。

その後でグループ現代から取り寄せたDVDと

照らし合わせてみたのですが

なんと最初に書いた原稿がほとんど合っていたのです。

自分でも驚きましたが、林先生の授業がそれほど

私に”刺さっている”のだなと改めて感じる出来事でした。


先生への強烈な印象は授業中だけではありません。

いまでも忘れられないのは

私たちが最初に授業を受けた

山形県の寒河江小学校でのことです。


授業の後、先生はすぐクラス全員に感想を書かせます。

集めた感想文には全て目を通し、

それを元に担任の先生たちと

放課後に対話の時間を作ります。

林先生は全ての中から

ある一人の生徒の名前を読み上げます。

名前を呼ばれた生徒の担任である女性が

うれしそうに「はい」と声を上げます。

すると林先生は

「この感想文は書き直させましたね」と、

消しゴムで消された文字を探しながら

“最初の感想”を読み上げ、

その後で書き直した文章を読み

「ぜんぜん違っていますね」

「原資料に手を加えることは、

 教育にたずさわる者が、

 決して行ってはいけないことです。」

と厳しい口調でたしなめました。

彼女の顔が青ざめていたのを覚えています。

最初に呼ばれた時は、文章への指導を

褒められるのではと思っていたのかもしれません。


対話には担任以外の先生達も参加していました。

その中の一人の女性教師が

授業の中で禁止用語を使用していたことについて指摘しました。

”人間のばけもの”という表現についてです。

林先生がそれにどう答えられたか覚えていませんが、

その時の私は、その指摘にひどく腹が立ちました。

そのことを後日、林先生にすると

「あの教師たちはパンを求めている子どもに石を与えている」

と表現され

私が「だから、学校って嫌いなんだ」と言うと

「義務教育を子どもたちは逃げられません。放っておけますか!」と

薄い笑みを浮かべて逆に問い詰められてしまいました。


最後に、どうしても書いておきたい出来事があります。

林先生を私淑するきっかけとなったことです。

「アマラとカマラ」の授業の中で

突然「どうかね、惣川君」と

多数の生徒の前で名指しをされました。

私は立ち上がって「私は狼の勉強をしてきた、、」と

しどろもどろに答えると

「本当の人間になる勉強をしないで、

 狼の勉強をするとああいう人になる」

と言って、授業は続けられました。

いまで言う「いじられた」というわけですが

この時の私は恥ずかしさというよりも

奇妙な嬉しさがこみ上げて来て

”林先生のこの力は何だ!?”と強く感じました。

あの時が、お亡くなりになるまで私淑する

”初心”が生まれた瞬間だったと

今でははっきり分かります。


さて、撮影することを認めてもらうまでには

続けて、東京都内と関東県内の小学校3校の授業に参加しました。

その後で、林先生から撮影の承諾が得られたのですが

何と!

その撮影は沖縄市の小学校で行ってほしいというものでした。


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