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水物語その139 林竹二さんとの出会い

今回から章を改めます。

テーマは「林竹二先生の記録映画をつくったこと」です。

このことがなければ私が50才から

「水」一筋に生きることはなかったと断言できます。

それどころか、飲んだくれて、50才までには死んでいた気がします。

ですから、私にとってこのことに触れずして

本来の「水」のことは伝えられないと思いますので

どうか、お許しください。


まず、どんな映画を作ったかといいますと

林先生が小学生を前に「人間について」の授業の様子を

映したドキュメントです。

その製作のきっかけとなったのは1976年の春のこと。

ドキュメンタリー監督仲間であり友人でもある

四宮鉄男君が1冊の本を持って自宅へ尋ねてきたのです。

当時の私は、ヨーロッパとアメリカをごみの取材で廻って帰国し、

「ごみと社会」を仕上げたばかりの時でした。


四宮君との呑み交わす準備もそこそこに

彼が持ってきた本 ”人間について” を軽く目を通し

「いまどきこんな授業をするひとがいるんだ!」

というのが最初の感想であり、林竹二先生に初めて触れた瞬間でした。

「この授業のドキュメントを撮りたい」との相談でやってきた

四宮君に

「撮らしてもらえるかどうかが問題だから、

 まず、四宮君が林先生にラブレターを書いて送るんだね。」

と答え、その日もたっぷり焼酎を飲みました。


四宮君がすぐに手紙を送ると、

林先生から

”ともかく、仙台の自宅に尋ねて来い”という返信が届きました。

彼がそれならば、と

グループ現代代表の小泉さんも入れて相談し、

四宮、小泉、惣川の3人で伺うこととなりました。



「林竹二先生とはどんな方か?」という

下調べもろくにせずいきなりご自宅に伺ったことを今振り返ると

顔から火が出るほど恥ずかしいことです。

その時点で林竹二先生について知っていたことは

宮城教育大学で学長を務められており、

大学紛争の最中は学生と夜を徹して1週間話し合いを行ない

結果、全国の大学紛争の中で唯一

学生が自主的に封鎖を解除するまでに至った。

ということ。

また、小学校の教師になった教え子からの頼みを受け、

道徳の時間を利用して「人間について」という授業をしている。

という2点だけでした。


林先生のご自宅は坂をあがった上にある

木々に囲まれたマンションでした。

奥様に迎えてもらい案内された書斎で待っていた

先生にまずは、どのような撮影をしたいかを

話すところから始まりました。

しかし、企画内容を全て話し終えても

撮影にOKは出ませんでした。

その代わり、

”授業を子どもと一緒に受けること”

”そして東京で、竹内敏晴という舞台演出家が行っているレッスンを受けること”

という2つの条件を提示されました。


あとから分かったことですが

その時の私たちは

”東京で映画を仕事としている人々”であり

「子どもたちの心の中で起きていること」を捉えるには

まだ難しいが、可能性はあるでは。

と評価されていたのだと思います。


東京に帰った私たちは

早速、竹内敏晴さんと会い

レッスンに参加させてもらうことになりました。





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