引き続き、いま進めている水事業のお話しをします。
溜池にリアクターを設置して2週間。
なんと、コンクリートの壁にべったりと張り付いていた
アオコが自然と剥がれはじめていました。
使い古したスポンジのような黄色に混じる藻の緑はまるで青のりのようでした。
手に取って匂いを嗅いでみると
磯のような香りがしました。
ところで、アオコは水にどのような影響を与えているでしょうか。
まず、アオコとは「ミクロキスティス」という
植物プランクトンのことを指します。
ミクロキスティスの他にも種類があり
これらはいずれもラン藻と呼ばれる種類で
細菌に近い原始的な生物です。
アオコが増えるとカビ臭・のような
なんともいえない匂いがするようになります。
またラン藻の一部から毒素を出すようになり
その水を飲んだ動物や人間が最悪死に至るケースがあります。
そして、アオコが大量発生しているときの水は
富栄養化(ふえいようか)が進んでいる状態です。
富栄養化とは植物プランクトンの栄養となる
窒素やリンが増えすぎていることをいいます。
栄養が多いことはいいように思えますが、
自然は一定のバランスが保たれることが非常に重要です。
植物プランクトンにとっては良い環境が
別の植物や生物に適していないこともあります。
またその栄養が分解されきれないことで
池底にはヘドロに近い泥が溜まっていくのです。
リアクター設置前、
溜池の底を棒ですくってみると悪臭はないものの
ゆるいねばりのある泥が棒の先にくっついてきました。
アオコが剥がれだすなど、
目に見えてわかる変化は設置から約2週間かかりましたが
数値でみるとなんと3日目で既に変化が出ていたのです。
以前の水物語でも紹介した酸化還元電位(ORP値)で実験をしました。
[実験方法]
1.採水した水をビンにいれ、ORP値(酸化 還元電位)を計測。
2.ビンの中へサビ釘を入れ、かき回しORP値を計測。
設置前の水は
サビ釘を入れる前が234mV(ミリボルト)
投入後は269mVと原水より上昇してしまいました。
これは水に酸化還元力がなく腐敗系の水になっていることを示しており
アオコの発生条件ともなります。
設置後3日目の水ですが
サビ釘を入れる前は233mVと設置前とほぼ同じ数値です。
しかし、サビ釘を投入後なんと
117mVまで低下したのです。
これは還元力のある水、
酸化されたものを元の状態に戻す力のある水に
変化していることを示しています。
この数値が安定化するとアオコは生息できなくなり
死滅または胞子化していきます。
数値は日を追うごとにどんどん下がっていき
なんと設置から4ヶ月後の3月末にはサビ釘投入後に50mVまで下がったのです。
現在、溜池にはリアクターを2台設置しています。-
アオコは完全に分解され、池の底の泥もサラサラの土になりました。
当初は「いるらしい」と言われていた金魚も
姿を見せるようになり気付けは100匹以上に増え
体長10cmもなかったはずが「主(ぬし)」と呼ばれるほど
優雅に尾ヒレを揺らし泳いでいます。
この溜池の水をどうするかは現在進行中です。
皆さんに嬉しいご報告できるよう
引き続き観察を続けます。
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