前回までは、プラスチック廃棄物は
「再生加工品」へと生まれ変わり
タコ壺や巨大な漁礁、公園の遊具となって
社会の様々なところで活用されていました。
これらの原料となるプラスチック廃棄物は
加工くずや流通で使われたコンテナや容器や袋など
産業からでてきたものでした。
今回からは「日本のごみ焼却技術」についてお話していきます。
先ほども書いたように、
「プラスチック廃棄物は再生加工品となっているので焼却されていないのでは?」
と思った方もいるかもしれません。
プラスチック廃棄物は2種類に分けられており
家庭から出るビニール袋や包装プラスチックは
そのような再生加工品の原料とはならず
その他のごみと一緒に焼却処理されています。
プラスチックが自然には存在しない物質であることは
電子顕微鏡写真でも紹介しました。
写真でもわかるようにプラスチックの分子密度は高いので
焼却処理を行うと従来のごみよりもはるかに高い温度が発生し
有害なガスも出てしまいます。
この課題をクリアするためには焼却技術が必要であり、
プラスチックごみ問題解決へと繋がるのです。
日本のごみ焼却技術レベルは世界的にも高く、
日々ごみを出す我々消費者の暮らしも守ってくれています。
1985年の時点で、一般ごみの焼却技術は
完成したと言えるレベルに到達していました。
その技術と装置の実際を紹介したのが
「日本のごみ焼却技術 -21世紀に向かって-」です。
プラスチックごみが問題になった1970年からの15年間に、
国内のごみ焼却炉メーカーの技術は大きく進化していました。
映画では当時完成したばかりの
焼却炉内部を詳しく紹介しています。
映像だと実物を見てもらえるので解りやすいのですが
また写真を載せて紹介していきます。
まず、みなさんも知っているように
家庭から出る可燃ごみは専用のポリ袋に入れて出され
ごみ収集車によって回収されます。
回収されたごみは焼却場のピット、
ごみを受け入れる大きなプールへと運び込まれます。
ごみピットに集まったごみは
まず、大きなクレーンでつかんでは混ぜるという作業が行われます。
この作業は焼却場に集められるごみの中身は均一ではないので
内容物によって燃えやすさに違いが出てしまい
炉の運転に支障をきたすために行います。
混ぜ合わせたあとは、焼却炉入口のホッパーへ投入していくのですが
これらのクレーン操作は実はなかなか難しく
ベテランの作業員の担当となっています。
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