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水物語その128 プラスチック廃棄物製測量杭

更新日:2023年8月11日

最初にご紹介するのは、

8年前の「よみがえるプラスチック廃棄物」でも取り上げた

測量用の「杭(くい)」です。

測量用くいとは、地籍調査などで使用される杭のことで

地の境界や街区基準点となる場所の地面に打ち込まれる標識のことです。

全国の自治体では古くから地籍調査には

コンクリートや松材で作られた杭が使われていました。

しかし、コンクリート杭を掘った穴へ正確に埋めるのは

なかなか苦労が多く、ディーゼルハンマーを使って

釘を打つかのように埋め込んでいましたが

かなりの騒音と振動が発生していました。

また、松材の杭は正確な場所に打ち込むことが出来ますが

年月共に劣化し、腐ってしまうので交換が必要となります。

測量杭は大切な土地の境界を定める重要なものですから

国の基準が定められており、JIS日本工業規格も決まっています。

杭だけではなく、作業にも正確さが求められていたのです。

これらの問題を一気に解決したのが、

プラスチックの廃棄物で作られた測量用杭です。

コンクリートに近い強度をもちつつも、はるかに軽量のため

作業準備にかかる負担も大幅に減り、何より一番重要な打ち込みが簡単です。

また松材のように腐らないため、交換が必要ありません。


映画の中で紹介した企業が最初にプラスチック杭を作ったのは1971年。

出来た当時は売り込みに行っても

「初めて見るものだということでどこも相手にしてくれませんでした。」と

当初の苦労を開発者のお二人が話してくれました。


では、プラスチック測量杭はなにから作られているのでしょうか。

主な原料は流通や工場で使われたコンテナや自動車の内装の切りくず、

新聞配達に使われたポリ袋や加工に失敗した資材など

本来であればごみとして廃棄されるはずだったプラスチック類です。


(集められた廃棄プラスチック)


(廃棄プラスチックをプレス機で圧縮している様子)


(企業で使われていたコンテナや蓋、包装用ビニール)


(オートメーション機械と溶かした原料を成形している様子)


(加工が終わり国土調査の文字が入る)


(出来あがる様子)


集められたプラスチックはプレス機に入れられ、細かく砕かれミキシングされます。

その後、熱で溶かし練り合わせ金型に入れて固めると杭の完成です。

しかし、一概に「プラスチック」といってもその元の素材は様々です。

全て同じというわけではなく、

あるものは硬くて強く、あるものは柔らかく粘り強いなど、

種類によって性質が違うのです。

全てを一緒くたに混ぜて完成というわけにはいきません。

あらゆる種類のプラスチックをどのような組み合わせ、

かつどの割合で混ぜたら良いのかが重要です。

本来は農業者であった2人は

初めてプラスチックについての化学的な勉強をしながら

何度も何度もテストを繰り返して

今の製造法にたどり着いたと言います。


(経緯を語る開発者2名)


この取材をしたのは1981年です。

開発を始めてから完成するまでの10年の間に公的な基準をクリアーし、

それまで使用されていたコンクリートと松材の測量杭は

日本国内のほとんどでプラスチック測量杭へと変わっていったのです。

また、この時点でブラジルに5万本中東のイラクに1万本の輸出を成功させています。


(出来上がった杭を運ぶ)


浜松市に有るこの企業は2023年の現在、

大きく発展を遂げ、国内はもちろん世界中に輸出しており

今もなお、プラスチック廃棄物を有効に活用し続けています。


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