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水物語その116 アメリカのごみ処理事情③

ボルチモアはワシントンの南隣にある古い港町で、人口は約100万人。

波止場の近くには30〜40階ほどの高層ビルが立ち並ぶ中規模都市です。


1925年からごみ処理の焼却処理をはじめており、

アメリカの中でも焼却工場を持つのが最も早い都市の一つです。

そんな都市ですから国の威信を賭けた「熱分解プロジェクト」を受け入れることが出来たのだと思われます。


市の清掃局を訪れた時のことを青柳さんは次のように書いています。

「たまたま、清掃局のトップ会議の最中であった。

本局の幹部と焼却工場と清掃事務所の所長の15人が議論を交わしていて、

4人の黒人も混じっていた。

いかにも第一線の現場会議という感じで、日焼けした顔つきがたくましい。」


撮影班はまず隣の部屋で待たされ、しばらくすると会議室に呼ばれました。

青柳さんが流暢な英語で自己紹介をし、取材目的を話すと日に焼けた肌の屈強な男たちは、

全員がにっこりと笑い私と堀田カメラマンに握手をしてくれました。


清掃局長のムーア氏は背の高い聡明な雰囲気の紳士でした。

彼はすぐに広報担当のポッタさんを呼び、局の車で取材班を案内するように指示しました。

私たちは一番最初に「熱分解プラント」を見せて欲しいと申し出ました。

プラントは市街地から離れた住宅地横にある広大な敷地に造られていました。

しかしゲートから入り、中へ進んでも、人影が見当たらず工場らしい音もしないので、

不思議に感じていると、ポッタさんが

「電気集塵機の設置工事中で停止しています」

と説明してくれました。


そのまま工場内を見て周りましたが、

「熱分解プラント」はとにかく一つ一つの装置が大きく、

これは全体のしくみを理解してからでないと撮影できないと判断し、

翌日に局長の説明を聞いてから撮影したいと伝えました。


ポッタさんはすぐに無線で局に伝え、

インタビューを午前9時にセッティングしてくれました。


撮影が翌日になり時間ができたので

ポッタさんが珍しい場所を見せたいと車を港へ走らせました。


「ここです」と車を停めたところは、レンガ造りの6階建て集合住宅が高い金網で囲われたところでした。

何棟もの建物が高さ3mほどの金網で囲われています。

その範囲は4平方メートルもあると言います。


そこはかつて白人の居住地でした。


しかし、1960年に黒人暴動が起き、住民が全員郊外へ移住したため、

建物全てが「ごみ」となってしまったのです。

金網は保安のために囲っているのだそうです。


いくつものマンションが、丸ごと捨てられて「ごみ」になり、

金網で囲うなどというのは、日本では考えられない光景でした。


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