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執筆者の写真有限会社シューコーポレーション

水物語その102 パリのごみ処理事情②

更新日:2022年11月16日

約束通りの午後3時。

私たち三人はコーディネーターに連れられ

2度目のパリ市役所 助役室へ向かいました。

今回は、交差点の真ん中に水場があることの疑問をきっかけに

パリの歴史を教えてもらおうと急遽アポをとりましたが

前日に、パリ市のごみの活用方法についての

インタビュー撮影で一度訪れていました。


取材を受けてくれたモルドー氏は、50代前半の中肉中背。

エレガンスとインテリジェンスを兼ね備えた

まさにフランス人といった雰囲気の男性で

終始落ち着いた声でこちらの質問に答えてくれました。


初回の撮影では、ごみ焼却炉の熱を利用した

発電と地域熱供給システムについて教えてもらいました。

地域熱供給とは、

温水を一ヶ所で作り、それを地下に張り巡らせたパイプを通して

周辺の施設・住宅に送り、暖房や給湯に利用するシステムのことです。

つまり、アパルトマンに住む人々がボイラーやストーブ・エアコンを持たずとも、

水道管のように送られてくる温水を使うことで

暖房・給湯をまかなうことができるのです。

本来使われることないままに終わってしまう

エネルギーを有効活用できる仕組みです。

パリ市に最初のごみ焼却工場が出来たのは1903年。

日本の元号はまだ明治の頃。

日露戦争が始まる1年前、明治36年の時です。

その後、1914年、1934年と建てられ

インタビュー当時では3つの焼却炉が稼働していました。

驚くことに、最初の焼却炉が建てられた時から

焼却炉の熱を利用した「発電」と「地域熱・暖房」の

システムはつくられていました。

実に、合理的かつシンプルな傾向のあるフランス人らしい仕組みです。

焼却工場はそれぞれ2度の改築を行い、1969年に当時としては

最後の改築が行われパリ市民の生活を支えていました。


インタビューの最後に

「パリ市は、発電と地域暖房と併せて、

年間20万トンの油田を掘り当てたのです。」

とモルドー氏は誇らしげに語っていました。

私たちが訪れたのは1975年で、今から47年も前ですが

当時、設置さていた蒸気暖房パイプの総距離は約200㎞ありました。

現在は更に伸びて、パイプの素材も強度の高いものへと

変化しているようです。


そして急遽お願いし奇跡的に叶った2度目のインタビューでは

事前にコーディネーターが取材テーマを

伝えてくれていたようで

モルドー氏の席の前にある広いテーブル上に

たくさんの資料が広げられていました。

そこには、交差点の真ん中に水場がなぜ作られたのか、

毎朝道路を洗う”彼ら”の存在とパリ市のごみについて

繋がる情報がたくさんあったのです。


パリ市内のごみ収集作業


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