水

​「水つくり」開発ストーリー
水物語その59 オカピの取材①

1989年、春。
「野生の王国」の取材で

アフリカ中部のザイール、
今のコンゴ共和国に行きました。
ビルンガ国立公園での

カバの生態と沼の水のことは
水物語その3」でお話ししましたが、
奥地のムグティ族

(当時はピグミー族と呼ばれていましたが、
差別用語に指定されて今はこう呼びます)
そのムグティ族の森で珍獣「オカピ」を

取材した時のことをお話します。

 

「オカピ」はジャイアントパンダと

コビトカバと並び、
世界三大珍獣に選ばれている動物です。
姿はシマウマに似ていますが、
実は爪が二つに割れているので

牛やキリンの仲間です。
弊社にはザイール国の

代表動物9種類のポスターがありますが、
ザイール国が無くなってしまったので

今では貴重な資料です。

そのポスターの真ん中に描かれてるのが

オカピです。
当時の日本では

ほとんど知られていませんでした。

オカピの棲む森には

小人のムグティ族が暮らしていて
取材するには彼らの同行が絶対です。
彼らの棲む森はザイール国の真ん中に在り、
そしてその森に入るためには
まず、ムグティ族とオカピのことを調べている
国際研究所の

エプルステーションへ行かなければなりません。

私たちが日本から到着した

首都のキンシャサは西の端。
中央都市であるゴマまで国内線で移動し、
さらに奥地のマンバサというところへ
現地の飛行機をチャーターして向かい、
ようやく研究所の在るエプルステーションに

辿り着くのですが
これがなかなかの長旅で、

珍しいことや驚きの連続でしたので、
今回はその道中のお話から。

キンシャサから中央都市のゴマまでの航空券は
大使館と提携していましたので

すぐ購入できました。
ところが出発前日に大使館の担当者が
「奥地ではドルは使えない。

コンゴフランの小紙幣しか通用しない」
と言うのです。
すぐさま大使館職員と

ロケ隊のコーデイネーターが
ドル紙幣を持って町へ出かけました。
ところが、朝食後すぐに出かけたのに

昼を過ぎても帰ってきません。
夕方になってようやく段ボール箱を
3つ抱えた二人が帰ってきました。
ロッジのひと部屋にスタッフ全員集合し、

段ボールを開けました。
大きめの小包ぐらいの段ボールの中には
現地フランの最小の紙幣が

びっしり入っていました。
しかもよく見ると使い古された

紙幣しかありません。
何と奥地では、新札と高額紙幣は

誰も信用してくれないというのです。
日本でいうと約50万円を

古い1円札で全て集めたようなものです。

コーディネーターは段ボールのまま運んだら

必ず狙われるから、
全員のリュックに分けて飛行機に持ち込むように指示しました。
レポーターの竹田津実・雅子夫妻、

カメラマン、録音技師、
コーディネーターと私の6人は

それぞれのリュックをひっくり返して
私物を全て出し、

代わりに紙幣をぎゅうぎゅうとつめ込みました。

 

翌日。
詰め込んだかいもあり、
キンシャサ空港での手荷物検査は

何事もなく無事通過。
ほっと一安心で座席に座ったのですが、

今度はなかなか出発しません。
すると突然、兵士が乗り込んできて
私たちの前に座る乗客へ何かを命じて

飛行機から降ろしました。
しばらく待っていると、

政府の高官らしい人が乗り込んできて
空いたその席に座るとようやく出発したのです。
乗客に聞くとこんなことは

しょっちゅうだとのことでした。